ついに完了しましたアーマードサウルスの感想シリーズ最終回。去年の4月から何度も期間を空けてやってきた感想ですが、ようやく終わらせられることに少々ホッとしています。続けることが出来たのもこれらの感想をほんの少しでも読んでくれている読者の皆様のおかげとして、今回改めて感謝の言葉を残したいと思います。本当にありがとうございます。
↑前回までの感想についてはこちらの記事を参照。
というわけで今回は第2期最終回までの感想を書いていく予定です。問題が山積みの中如何にして解決していくのかという問いに、かなりの力技でやってきた終盤で正直愕然とすることばかりですが、それでもジンたちの物語に見逃せないものがありました。そんな思いをこの感想で読み取ってくれれば幸いです。
第13話「ドハンの秘密」
ヨンジンが相変わらずセナを煽ったりする中で、最も気になったのがドハンについて。彼の体の異常を調べようとするスヒョン司令官たちに対し、精密検査を頑なに断るドハンの姿が目に付きました。エターナルコアが入っている事実を知っている視聴者からするともどかしいですが、同時にドハンなりの焦燥も伝わってきましたね。自分がようやく力になれている中で、そこにカラクリがあるといった可能性には触れたくない気持ちは何となく理解出来ます。
そんな最中で前回ラスト、ヒョンソクを襲ったハンギョル先輩との対決が後半の見せ場としてとんでもないことに。怒りに燃えるジンがハンギョルと呼び捨てにしてまで向かってくる絵面に手に汗握ったのも束の間、ハンギョル先輩がモササウルスに呑み込まれてしまうラストに唖然とすることになりました。思わず劇中の敵も味方も驚く決着であり、理解が追い付かなくて最初困惑が止まらなかったです。何よりここまで描いてきたハンギョル先輩の物語が、こんな幕引きというのは呆気なさすぎて正直ガッカリと言わざるを得ません。
またハンギョル先輩を慮るJJにも地味に驚かされました。かつての味方と戦うことに心がすり減ってないかと案じ、休むことを提案してくるのはかなり意外です。(思えば最初は戦っていたこの2人が今や上司と部下というのも不思議なものです)というか敵サイドの方が部下想いという構図に、何とも言えない気分になってきましたね。チョル司令官はJJのツメの垢を飲んで?
第14話「JJの真実」
さて上述のJJに関する物語が展開されたこの回は、彼が所有するカイザーの基地への襲撃が描かれることに。リンカーなし、現代的な兵器と装備のみで攻撃に入るDアーマーのゴリ押しっぷりに変な笑いが出てきました。これでどうにかなるまで向こうが疲弊していたということなのでしょうが、あっという間に制圧されていく展開の早さは妙にシュールに感じてしまいます。
そしてJJに関してはガンウン教官との愛し合っていた過去が判明。1期最終回でただならぬ関係にあることは仄めかされていましたが、そこまで直接的な間柄だったのかと少々びっくりしてしまいます。また最期は潔く自爆を選んだJJが、ガンウンを気絶させてでも逃がしたことにも呆然となりましたね。急なラブロマンスながら、教官の涙もあって少しだけ胸が締め付けられた次第です。
あとはドハンについての話からジンが自分の中にエターナルコアが入っていることを知る展開に繋がったのが印象的。しれっと明かされてしまったことに見ているこちらもぽかんとしてしまいます。相変わらず対立する両司令官(自分のことを棚に上げスヒョンも同類だと責めるチョル司令官には相変わらず憤りを覚えます)の思惑をよそにしているので、こちらもシュールなことになっていましたね。
第15話「プラウトゥスとの対決」
自分の真実を知って狼狽するジンの様子が見ていて辛かった回。いつかは来る展開ではあったものの、楽観的な彼がここまで打ちのめされるのはやはり堪えるものがありますね。両親を死に追いやった原因も理解してやけっぱちになっていくので見ていられませんでしたが、レシアスのカウンセリングで一応は落ち着きを取り戻したと言っていいのでしょうか。呪いのように思える力でも「今の大切なものを救うために利用すればいい」といった旨のアドバイス自体は割と適切かもしれないとは思いますね。
それはともかくこの回ではあの強敵・プラウトゥスとの再戦が最大の見どころとなっていました。前回はボロ負けだった中で、ビクターの犠牲を払いながら何とか勝利してみせたことにテンションが爆上がりしましたね。ジン&ブルズが空を飛んだりワイヤーを使ったりと、いつになくアクションが激しかったのもあって見応え抜群でした。またジンやアインが復讐心に燃えながらも、割と冷静に戦い抜いたのが印象に残ります。(特にアインはかつてないほど活躍していて内心ガッツポーズ)怒りに身を任せることなく、クールに戦い抜いた点で彼らは成長しているのかもしれませんね。
第16話(最終話)「最後の決戦」
そしてついにやってきた最終回ですが、最後の相手がまさかのガーディアン・イシスということで驚愕せずにはいられなかったです。ヘクロトンバを倒した後に実はイシスこそグリマーの分身だというタネ明かしをしてきた時は目が点になりましたね。同時にレシアスがガーディアンに潜んでいたスパイを密かに探っていたことも判明し、これまでの暗躍にも一応意味があったことが知れたのも大きかったです。まぁそれを差し引いても納得のいかない暗躍ムーブだったうえ、イシスの正体を見抜けなかったことに呆れてしまいますが。
そんなラスボス・イシスとSリンカーたちによる決戦は、超能力&バリアを使うイシスの猛攻を如何にして躱すかがキモの様相を呈していました。地面を抉って木々をなぎ倒していく光景のインパクトはあったものの、如何せん等身大の人間が敵なのでどこか迫力不足でしたね。(どうせグリマーの分身ならグリマーそっくりの姿に変形するなどして襲い掛かるとかしてほしかったです)ともあれイシスを倒していきなり半年後へと時間経過し、俺たちの戦いはこれからだ!!とばかりに終わってどこか肩の力が抜けてしまいました。
(また新しいラプトルを相棒にすることを拒むアインに、セナがラプトルと戯れさせることで説得するパートがここすきポイント)
というわけで最終回までの感想でしたが、終盤の急すぎる展開の数々に動揺せずにはいられませんでした。ハンギョル先輩やJJ、ヘクロンバといった敵があれよあれよという間に処理されていき、あらゆる伏線が一気に回収されるのでついてこれなかったことが多かったです。またヨンジンやドハン、司令官たちなど他の登場人物が途中からフェードアウトしたのも不自然に感じます。
話に巻きを入れているのが丸わかりで、それらの問題が放置されっぱなしなのはどうしても不満を覚えますね。このラスト4話は広げに広げた風呂敷を片付けるのに必死で、色々取りこぼしてしまったという印象になってしまったことは否めません。韓国でのシリーズ展開が今現在どうなっているかはわかりませんが、どうにかして続編を用意してこれらの不満を解消してほしいところです。
そしてアーマードサウルス全体の感想についてもこのまま書いていきます。まず装甲を纏った恐竜に乗って戦うコンセプト通り、クオリティの高いCGによるバトルが魅力的な作品でした。アーマーの装着シーンやそれらを伴った出撃シーンは毎回ワクワクさせられる出来で、これだけでも胸躍ります。機械恐竜といった敵も豊富で戦いにもある程度工夫がされており、戦闘シーンはいずれも見ていて興奮させられる仕上がりだったと思います。
ただそれらの要素が気持ちよく作用しない話運びは大きな問題点。リンカーの少年たちを巡る大人たちの争いや、腹芸を繰り広げるレシアスなど他組織の思惑が入り乱れてカタルシスが大幅に削られていた点がどうしても気になってしまいます。日本のロボットアニメにも似たような傾向があり、複雑な人間ドラマの代償としてバトルの爽快感を得る機会が少なすぎる結果になっていました。肝心のドラマパートも誰彼が怪しいといった展開を繰り返してばかりなので、回を重ねるごとに退屈に感じてしまいます。
一方で主人公をはじめとした少年少女の「自立」を扱ったストーリーは面白かったですね。上述の大人たちに翻弄されながらも、自分で考えて行動しようとする彼らの成長と青春に感銘を受けることが何度もありました。運命なんて知るかの勢いを見せるジンや母親の呪縛から逃れたヨンフなど、子どもたちが周囲に負けずに立ち向かう姿はどれも心が震える者ばかり。殺伐とした大人たちに対して、子どもたちなりの友情やコミュニケーションを育ませるのも本編の大きな清涼剤になっていましたね。本作の最大の見どころは、ジンたちの心の成長にあるのかもしれないと思いました。
ではまた、次の機会に。