飲食店の検索・予約が出来るサイト「ホットペッパーグルメ」とアニメ作品のコラボ企画、その新作が発表されました。これまで『ちびまる子ちゃん』や『NARUTO』、『おそ松さん』&『天才バカボン』と錚々たる面子が出演していましたが、そこに『機動戦士ガンダム』のシャア・アズナブルが参戦したことに度肝を抜かれました。しかもドレンをはじめとした部下たち、画面手前にラル大佐&ハモンさんと中々に豪華なモノとなっているのが驚きです。(シャアに挨拶せず退転したラル大佐、どんな心境なのだろうか……)
上のCMでその様子が確認出来ますが、部下と仲良く談笑しながら食事するシャアに不思議と心が暖かくなりました。部下にからかわれつつも笑い合う光景は、ファーストガンダム本編を見ていると余計に夢のように感じます。何より「食事とは、救いかもしれない」というシャアの独白が切なくて、復讐や使命とか関係なく過ごしている彼がどれだけ貴重なのかが間接的に読み取れます。シャアの良い意味で部下との間に遠慮がない関係はやはり微笑ましいなぁ……などと考えながら見ることが出来ましたね。それはそれとしてシャアもドレンも食事中はヘルメット外せよ!
というわけで以下、今週の簡易感想です。
ニャイト・オブ・ザ・リビングキャット
第10話「ノルウェージャンヌ・ダルク」
前回まさかの騎士甲冑を纏って再登場したツツミ。彼女が如何にして今の状況にまでたどり着いたのか明かされましたが、少々壮絶な内容に息を飲みました。最初こそ猫アレルギーを駆使した逃亡で持て囃されていたものの、その立場の重さを受け止めながら疲弊していく姿は見ていられなかったです。どんな状況でも誰にでも優しく接してくれるツツミの性格は、なるほど仲間たちの希望になっていたのも納得の一言。彼らが妄信ではなく彼女自身を慕っていただけに、その犠牲の上に立つことがどれだけ重かったのかが窺い知れます。まぁ犠牲になった連中のほとんどは猫と戯れたかったんだろうけどね!
それだけにヴェンデルシュタインに到着したツツミが、カオルと念願の再会を果たすシーンは素直に感動しました。ずっと張りつめていたであろうツツミが、親友を前に耐えきれず泣き出す瞬間は見ているだけで胸が締め付けられます。その後の生活に関しても2人仲良く、普段のJKらしく過ごしてくれていたのでホッとしました。「ガンスリンガー」や「ラストサムライ」といったツツミ組も妙に濃いキャラで、彼らとの交流を深めていくパートも微笑ましかったです。(アラタに春が来そうなフラグには変な笑いが出ましたが)終盤新たな脅威が迫ってきていたものの、ほんの少しだけ平穏な様子を見せてくれただけでもありがたかったですね。
まったく最近の探偵ときたら
第11話「真白と愛の霊能力者」
珍しく1話丸々1つのエピソードとして流れた今回は、とある村の潜入という一大イベントが繰り広げられました。よそ者を寄せ付けない因習村とそこを牛耳る霊能力者……と某TRICKでありそうな絵面を案の定バイオレンスに破壊していくギャグは最高でしたね。特にシャーマンのババアが強烈で、言ってない発言と驚異のフィジカルで真白と互角の戦いを繰り広げるのが凄まじかったです。探偵VSシャーマンという肩書きに反して、シンプルな暴力のぶつかり合いに腹筋が破壊されっぱなしでした。(特殊EDまで用意してカラオケしていたのも大分シュール)
そして霊能力者の正体が医者、というオチも中々に秀逸。霊能力と偽って村人の体を治したり、入院が必要な人を大掛かりな悪魔祓いで村から脱出させるといったタネ明かしは非常にわかりやすかったです。性癖に関してはやや下世話な話であるものの、彼がある意味で善良な人物であることを理解するのはちょうど良かったかもしれません。そして残った問題を警察に通報して解決してもらう、圧倒的なパワープレイまで含めて笑わせてもらいましたね。
(ちなみに珍しくCパートがあったと思ったらまさかの探偵事務所立ち退きの危機でびっくり。最終回はアニオリエピソードとかになりそうですね)
おそ松さん(4期)
第10話「イヤミとひっこみじあん星人」
久々にイヤミのメイン回っぽいのでどうなるのかと思った矢先、宇宙人カフェでピンハネしている現状に思わず顔を覆ってしまいました。イヤミらしいと言えばらしい展開なうえ、外国人ならぬ宇宙人を搾取する構図の生々しさが何とも突き刺さってきます。そのうえ宇宙人たちのビザがないなら六つ子たちと結婚させればいいじゃない!という発想も、普通に最低でイヤミというキャラクターのロクでもなさを改めて実感した次第です。
ただイヤミとしては彼らに手を差し伸べたらしいのが何とも複雑ですね。これだけ見るとイヤミたちの足掻きに納得いくのですが、何故かピンハネに至っているのでどうしようもなさが加速しています。結局彼ら「ひっこみじあん星人」との勘違いというオチにもズッコケましたし、イヤミは最後まで金にがめついロクデナシというイメージは崩れなかった回となりました。
(本筋以外ではイヤミがひっこみじあん星人とまとめて結婚して問題解決するシーンで爆笑しましたね。責任の取らせ方としても悪くなかったかもしれません)
クレバテス-魔獣の王と赤子と屍の勇者-
第11話「偽物の勇者」
ついに明かされたハイデンの炉の秘密。王は代々炉に焼かれて炉の主の傀儡となる情報だけでも衝撃的ですが、その主の正体が書物だったことには目を疑いました。「トアの書」なる一冊が一国の王を操り、勇者伝承を続けていると思うと中々グロテスクに感じます。またかつてハイデン王が呟いたという「真の勇者はもういない」の言葉からして、はるか古代に敷かれたルールが形骸化した結果がこの状況なのでしょう。
それ故ラストのクレンにもある程度同情が湧いてきますね。ここまでの旅だけでなく、魔獣王の役割など全てが茶番だと知ればこうなるのも無理はありません。ルナを置いていくシーンこそショッキングながら、何もかも馬鹿馬鹿しくなった者の末路としては大いに理解出来るところです。誰もが真実を知らないまま、意味すらも失った伝承に振り回されている本作の構図にとてつもない空虚さを覚えました。
そんな残酷な真実が登場人物に襲い掛かってきた中、アリシアだけは変わらず勇猛果敢でいてくれました。難しいことはわからないけど、自分のやったことには意味はある!とばかりのポジティブさにはかえって救われるものがありますね。何より彼女の「世界を広げたい」という考えは父ひいては当人の意志。勇者伝承の犠牲になりながらも、確固たる自分だけの考えを持ち合わせたアリシアはまさにこの世界を穿つ存在となってくれるかもしれません。
ちびゴジラの逆襲
第76話「ちびアンギラスの声変わり」
1匹だけ声変わりで怪獣らしい鳴き声になってしまっているちびアンギラス。彼とちびゴジラの思い出に笑っていいのかほっこりしていいのか結構困惑しましたね。やはり声変わり前のちびアンギラスが印象的で、可愛いボイスからいつの間にか野太い声へと変化している瞬間で吹き出してしまいました。声は良いとしても、相撲取りから焼き芋屋さんとやっていることもキャラクターも別物レベルなのは何とも意味不明で笑えてきます。
そんな喋ることが出来た頃のちびアンギラスのネタっぷりが今回のキモ。担当声優も田村睦心さん→稲田徹さんという変遷のギャップが凄まじかったです。そして各ちびアンギラスのクレジットも面白くて、「ちびアンギラス(焼き芋)」という表記のシュールさは見事の一言。(焼き芋屋さん)とかじゃなく単なる(焼き芋)表記なのが笑いを加速させてきますね……ちびアンギラスだけで名前が並んでいる点も含め、今回は一貫して笑いを加速させていましたね。
今年放送された『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』などもそうですが、近年のガンダム作品はシャアが平和に過ごしている可能性を模索しているように見えるのが興味深いですね。正史においてはスペースノイドを率いて人類を導こうとする考えに囚われた哀れな人物だっただけに、そういったしがらみから離れられるのはファンとしても頷かずにはいられません。ネタ要素も抱えつつ、どこかお労しさあふれるシャアにはもっと穏やかなシーンを提供してあげたいところです。
ではまた、次の機会に。