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デュエル・マスターズ キングMAX 感想(総評)

限界の限界へ

翼 振りかざせ

ジョーの物語の終わりを、全力で駆け抜けたような約5か月間だった

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 今年の4月に放送開始された『デュエル・マスターズ キングMAX』。ジョー編最後のエピソードと銘打られた本作もつい先日、無事に完結しました。1話目から衝撃的な展開で話題を呼び、その後も毎回怒涛のスピードで話が進んでいくテイストが印象に残る作品でした。全17話とデュエマアニメとしては異例の短さで終わったのも特徴的で、最後の最後に色々と飽きさせないものを見せてもらった気分です。

 

 

 先に評価点について語りたいと思います。

 まず挙げられるのが上述の通りハードかつスピーディーに進む展開。第1話からジョーカーズ星壊滅&デッキー誘拐というショッキングなラストを用意して視聴者を引き込みつつ、その後も1話ごとに物語が大きく進んでいく様子で何かと見入らせていくような構成が見られました。サイドエピソードといったものを最小限にして、本筋を進めることに注力していた印象を受けます。おかげで本作の急展開には毎週楽しませてもらいましたね。

 また本作はギャグ一辺倒だった前作までとは打って変わってシリアスなストーリーが中心だったのも大きな特徴。ジョーにとって辛い仕打ちが続くのはもちろんのこと、敵であるアバク側にも大きくスポットを当てて彼の苦悩を描いていたのが良かったです。主にこの2人の物語が濃く展開されることで、両者の対立が深く感じられるようになっていたと思います。

 他にも過去シリーズのキャラを扱っていたのも素敵でしたね。ウサギ団の復活を筆頭に、ジョー編に登場した様々なキャラや要素を引っ提げて描いたので思いのほかバラエティ豊かに仕上がっていたのは好印象です。これまでの脇役をまとめて登場させるようなネタ回もありましたが、そうした力技を使ってでもジョー編のキャラを全て出そうとする気概が感じられました。

 

 もう1つストーリーに関して特徴的だったものとして、ジョーとデッキー&ジョーカーズの関係について大きなメスを入れていたことが挙げられます。上述の通りそれら全てをいっぺんに奪われるところから物語が始まりますが、そこから「ジョーにとってデッキーとは、ジョーカーズとは何か?」という問題が全体を通して大きく描かれていました。大切なものの喪失を前にして、切札ジョーという少年は如何に行動するのかが重要なポイントだったように思います。

 結論から言うとデッキーとジョーカーズはジョーにとって「卒業」を意味する存在でもありました。喋るデッキケースと自分の絵を元にしたクリーチャーという設定はまるで子どもの空想を形にしたような「少年時代の象徴」そのもの。そんな夢の存在として最後に姿を消すことで、子どもから大人へと少し成長するプロセスをジョーに与えるのが彼らの最大の役割だったのかもしれません。

 思えば劇中でジョーはデッキーたちを取り戻すために力を注いでおり、仲間以上の執着を彼らに見せていました。もちろんそれは決して悪いことではないのですが、そこから一歩先に進むためには大きな「別離」も必要であることを本作では訴えていたように感じます。ジョーにとって辛い別れでしたが、それを乗り越えてさらに新しい道へと進んだ最終回を見た後だと余計にそういった考えが頭に浮かんできます。ジョーカーズたちの設定上こうなることはジョー編1年目から予想していた中、個人的には理想的なジョーの卒業を彼らはもたらしてくれたと思いましたね。

 

 続けてデュエマパートですが、こちらは何といっても「S-MAX進化」が最大の特徴です。相棒のクリーチャーと一体化する触れ込みとは別に、デュエリスト自身がヒーローのように変身する設定には驚愕しました。変身後のビジュアルも大きく変化して、まさしく「登場キャラがクリーチャーになった」というイメージを強く伝わってきます。特にジョーはジョニーかジョラゴンかで変身後の姿が異なる仕様になっていたのが面白かったですね。

 他にも前作のように過去作のクリーチャーがここぞの場面で登場するのも印象的でした。勝太が帰ってきた回のエピソードなどもありましたが、基本的にはジョー編のクリーチャーの出番に注力していたので見ていて嬉しかったです。特に最終回のジョニー&ジョラゴン&モモキングの集結は何度見ても興奮させられます。

 

 

 

 

 さてここからは本作での不満点と問題だと思った点。見たくない方はブラウザバックを推奨します。

 上述の通り短い話数で走り切った本作ですが、その一方で明確な日常回といったエピソードがほとんど見られなかったのがまず問題でした。ウサギ団回など、全17話中3回ほどしかありません。これはアバクたちと戦うという本筋をブレることなく進んでいた弊害と言えます。寄り道を極力減らしたせいで、ジョーたちの平穏を描く機会がほとんど失われていました。

 実際本作を最後まで見てみて、ジョー編の醍醐味の1つであるジョーのおかしな日常がなかったのは残念に思いました。ジョーカーズたちが中々帰ってこれなかった事情もありますが、その代わりにキラたちとのやり取りに力を入れてほしかったのが本音ではあります。本筋が基本重苦しいだけに、これまでの息抜きのようなエピソードが必要だったことをここにきて再確認した気分です。

 

 また例によってキラたち仲間の活躍がほとんどなかった点も挙げられます。前作と比べるとジョーの心の支えになるなど本筋に大きく関わってはいるのですが、デュエマパートでは依然として出番の少なさが目立ちます。キャップは詳細なデュエル描写が1度もなかったですし、ゼーロJr.に至っては存在がほとんど空気になっていました。こちらもジョーとアバクの対決を主軸にしていたせいで、極論いなくても成り立つ彼らの出番が削られてしまったのかもしれません。

 同時にS-MAX進化の変身シーンがほとんど見られなかったのは惜しかったですね。ジョー以外は1、2回変身するだけで終わり、クリーチャーとの合体要素もあまり感じられませんでした。上のデュエマパートの少なさも相まって、ほとんどゲスト扱いの如くあっという間にキラたちのS-MAX進化の活躍が終わってしまったのは正直物足りなさが否めなかったです。せっかく美味しい設定を引っ提げてきたのに、それが活かしきれなかったように思えます。(個人的にはモモキングとジョーの合体形態も見てみたかったですね)

 

 あとこれは作品そのものの評価とはあまり関係ありませんが、途中で挟まれた再放送がこれまた気になりました。流石に前作ほど過剰ではなかったものの、話の途中でいきなり過去のエピソードが挟まれる構成にはやはりストレスが溜まってしまいます。

 特に16話以降の4回連続再放送は本当にひどいと思いました。最終回の1話前で1か月も待たされるのはあまりにもキツかったです。オーディオコメンタリーのような試みもあってそれ自体は聞いていて楽しかったものの、もう少し工夫するべきところがあるはずだっただろうと言わざるを得ません。

 制作側も何かしらの事情があってこうせざるを得なかったことは何となく察せられますが、見る側としてはどうしても苦言を呈したくなります。個人的な妄想で悪いのですが、その1か月の間に「デッキーを失って傷心のジョーが、これまで出会った仲間たちとデュエマをすることで少しずつ前向きになっていく」といったエピソードを入れたら良かったのでは?とつい考えてしまいます。これなら上述の日常回や仲間たちの出番の不足を同時に補えるので、出来ればそういった旨の内容をやってほしかったですね。

 

 

 総評としては「ジョー編完結までのノンストップストーリー」といったところでしょうか。ジョーの物語を終わらせるために、必要なことややるべきことを徹底的にまとめあげたような印象を受ける作品でした。無駄な要素を極力削ぎ落とし、完結までの1本道を全力で駆け抜けた爽快感が最大の特徴だったと言えます。ただその無駄にも目を向けて、アットホームな雰囲気をもっと出してほしかったとも考えてしまいます。
 とはいえジョー編の終わりとしては結構理想的な内容だったのも事実。ジョーという少年の最後の成長に目を向けて、そこまで描き切ってくれたことには感謝しかありません。過去のジョーカーズの登場などのファンサービスもあり、ジョー編のファンとしては概ね満足のいく作品でしたね。

 

 

 では以下、各キャラクターについての所感です。

 

 

切札ジョー

 我らが主人公。今回はいきなりデッキーたちを奪われるわ、途中で父ちゃんも傷つけられるわとひどい目に遭いっぱなしでしたが、その分何度でも立ち上がるジョーの良さが表れていたと思います。特にアバクの所業に憤る一方で、彼の境遇を知って助けようとする優しい一面が見られたのが嬉しかったです。

 取り戻したデッキーとの突然の別れも経験し、ジョーカーズとも別れなければいけない状況に立たされたうえで「別れは新しい始まり」という答えを見せてくれた最終回には感動させられました。まさしく本作はジョーの卒業と新たな一歩を描いてくれたのだつくづく思いましたね。

 

 

デッキー&ジョーカーズ

 ジョーの親友にして最高の相棒たち。本作ではアバクによって出番が奪われ、可哀想な目に遭っていたのが見ていて辛かったですね。特にデッキーが鬼の槍に力を奪われるシーンなどは見ていられませんでした。話も終始重く、デッキーたちの和やかさにどれだけ救われていたかを改めて思い知りました。

 最終的にそれぞれ消滅あるいはジョーカーズ星に帰還してジョーと別れることになりましたが、上述の通りそれがジョーの成長に大きく繋がっていたことには納得しかありません。ジョーにとって少年時代の奇跡のような日々を象徴する存在として、有終の美を飾ってくれたと思います。

 

 

鬼札アバク

 本作のボスキャラ、そしてもう1人の主人公。ジョーにとって許せない行為を重ねまくった憎き敵キャラとして物語の最後に立ちふさがってきましたが、その実態は鬼の血に振り回された哀れな少年として描かれていたのが興味深かったです。『キング』時代と比べても悲劇性が強く、特に漫画版で物議を醸した過去編を見せてきた時は心底驚きました。

 ジェンドルや鬼の槍に“鬼”として在ることを強要され、本人もそれを良しとして振る舞っていたのは一周回って痛々しかったです。それだけにジョーとの最終決戦の後、自分の本当の望みを口に出来たことには感動しましたね。ジャオウガも力を貸してくれてヒミコやハイドともよりを戻し、さらには和解したジョーと共に学園生活を送るエンドには思わず顔が綻んでしまいます。最後の最後にみんなが救われる結末が見られて本当に良かったです。

 

 

 ジョー編も無事完結し、同時にこれまで主役を演じてきた小林由美子さんも本作を以てデュエマアニメを卒業することも忘れてはいけません。長いことアニメの方を引っ張ってくれた小林さんの声が聴けなくなるのは残念ですが、いつかまたデュエマに関わってくれることを信じて、ひとまずは感謝の言葉を残したいと思います。

 小林由美子さん、今までありがとうございました!!

 

 そして次回から新番組『デュエル・マスターズ WIN』の感想を書いていく予定です。切札家ではなく、最初から闇文明を主軸にして戦う主人公という斬札ウィンの物語に対し、期待で胸が高鳴ります。ジョー編以上に前代未聞となるであろうウィン編がどうなっていくか実に楽しみです。感想の方も、読んでいただければ幸いです。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

 

↓以下、過去の感想一覧です。

 

 

 

 

 

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