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デュエル・マスターズ WIN 感想(総評)

ただ 僕らは僕らって叫んでいこう

新たなデュエマの幕開けに相応しい始まりだったと思う

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 去年9月に放送が始まった『デュエル・マスターズ WIN』。同年完結した切札ジョー編に続く新主人公・斬札ウィンの物語としてスタートした本作ですが、闇文明使いの主人公やガチのデュエマ対戦風景など、様々な要素で楽しませてくれる作品でした。シリーズの序盤故に不明瞭な点や放置されたままの謎があったものの、ある種の壮大なプロローグとして見事なスタートを切ってくれたかと思います。

 

 

 先に評価点について語りたいと思います。

 まず上述でも触れたとおり、主人公のウィンのこれまでにないキャラクターが魅力的でした。本格的な闇文明使いとしてブラックさを見せつけるのではなく、デュエマ中の容赦のなさを見せつけるタイプの主人公像を出してきたのはかなり意外でした。デュエマのプレイングもクレバーで、歴代主人公と比べてもかなりの“強者”としてのイメージを確立させているといると言えます。

 その一方で基本はデュエマが大好きな少年、という点も特徴的。普段は友人たちとデュエマに興じ、それ以外の楽しいことにも全力な年相応の子どもらしさを併せ持っています。(時々ナチュラル畜生発言もしますが……)中でも父親であるパパリンとの家族愛が深い点は印象的で、それだけで好感が持てますね。それ故デュエマ中の上とのギャップもあり、ウィンのカッコよさ・面白さが際立っていました。

 そして相棒ポジションである邪神くんとの関係がまたギャップの塊で、恐ろしい邪神という触れ込みの存在がマスコット的存在となっているので何ともほっこりさせられます。それでいて邪神くん自身は裏で様々な悪だくみをしており、ウィンすらも利用しようとしているのが読み取れるのが興味深いところ。一見すると仲のいい凸凹コンビのようでいて、その実本当に信頼し合っているのかどうか怪しい関係性にはヒリついたものを感じますね。総じてほんわかしているようで油断ならないという、これまでのデュエマ主人公以上に怪しい要素満載の主人公たちでした。

 

 その怪しさは他のキャラクターやストーリー全体に関しても同様で、物語の裏側にクリーチャーの存在があることを仄めかす描写がチラホラと隠されているのがポイント。ウィンたちが楽しい日々を送る中、邪神や他のクリーチャーたちの闘争などがひっそりを繰り広げられており、詳細は不明なものの不気味に感じる点も何度かありました。さながら「日常を侵食していく非日常」が広がっているかのような感覚を覚えます。

 それでいて主人公ウィンのキャラクターと同じく、本筋の方は非常にシンプル。友人や強敵とデュエマで戦っていくのがストーリーの基本となっているので、普段は安心してウィンの物語を楽しむことが出来ましたね。大会などの定番イベントもテンポよく消費しており、見やすさも抜群でした。そのため上の謎が気にならない程度に収まっており、念頭に入れすぎず片隅においておける程度の伏線や布石になっていたと思います。気になる謎は多いものの、あまり考えすぎずに楽しめるのが本作の面白いところです。

 ウィン以外のキャラたちの掘り下げもしっかりされており、短い話数でも彼らに対してすぐに好感を抱くことが出来ました。中でもボウイは前半のメインキャラとして重点的に描かれており、ウィンやカイザといった相手に挑む“挑戦者”として描かれていたのが印象的。デュエマパートでの明確な活躍はなかったものの、彼がウィンのライバルであることが視聴者にもわかるエピソードの数々は実に面白かったです。

 

 そしてデュエマパートですが、こちらは何といってもシリーズ屈指のガチなデュエル構成が衝撃的でした。現行の最新カードだけでなく現実の環境でも活躍しているデッキやカードが続々登場していく内容は、実際のデュエマをやっている人なら度肝を抜かれる光景だと思います。同時にカードの組み合わせやプレイングも実戦的なものが多く、デュエマを嗜んでいる身にとってはと唸らされるものばかり。

 過去作で敵サイドだったり特別なポジションだったカードが普通に使われているのも新鮮です。世界観を現実に寄せている作品だからこそ、そういった制約を気にせず様々なカードが使えていたのだと考えられます。主人公のウィンもアビスに限らず様々なカードを使うので、彼のクレバーさがより強調されていました。おかげで毎回どんな意外なカードが飛び出してくるのか楽しみにしながら視聴することが出来ましたね。

 他にも殿堂ゼロデュエルやデュエパーティーなど変則的なルールで遊ぶ回もあり、バラエティ豊かなエピソードが展開されていました。これはデュエマの競技的志向に対し、それ以外の楽しみ方もあることを示しているのでしょう。通常のデュエマも別ルールのデュエマも推しだす点には好感が持てますね。劇中でもみんな楽しそうにデュエマをしているので、見ている側も楽しみたくなる魅力に包まれていたと思います。

 

 

 

 

 さてここからは本作での不満点と問題だと思った点。見たくない方はブラウザバックを推奨します。

 まず最初に一部のキャラに関するヘイト管理の問題について、ウィンと敵対関係にあるキャラクターの描き方には難を覚えるところがいくつかありました。この話で真っ先に思い浮かぶのはプリンス・カイザでしょう。ウィンのライバル&ボスキャラのポジションであるものの、一部の過激な行動によって多くの視聴者からの非難を浴びたことはかなり印象に残っています。僕自身パパリンのデッキを燃やす、ウィンを煽るといったやり口には首を傾げることになりました。

 カイザに関しては劇中で強い発言などの他にもボウイに厳しくも期待している態度を取るなどしており、それが上の行動との違いに大きな“ズレ”を起こしているのも問題だと思います。じっくりと作品を見返していればカイザのキャラクターを読み解けてこの辺りの矛盾感も解消するのですが、そうでないと悪印象ばかりが印象に残ってしまいますね。

 それ以上に描写がウィン側に寄りすぎていたと思います。上述のウィンたちの日常風景を重点的に描いていた一方で、カイザたち側・D4の描写は最低限であまり好感が持てないまま話が進んでいました。そのためカイザが邪神という悪を倒すという目的で動いていることにイマイチピンとこない時もありましたね。劇中のキャラの立ち位置や目的の設定に対して、肝心の描写がどうにも不足しているものになっていた印象は否めなかったです。

 カイザ以外だとマイハマギャングの2人やハリウッドザフクシャチョウのような悪役ポジションも挙げられますね。彼らに関してはあからさまなイカサマをしたり、デュエマをただのゲームと罵ってカードを投げ捨てるなどする行為が目につきました。デュエマのアニメとしてカードを大切にしない・ルールを守らない行為は悪役であることを印象付けるのに手っ取り早いですが、少々不快に描きすぎたように感じます。(そして彼らのキャラクターに対して大したフォローがないのも気になります)総じて主人公の敵対勢力の扱いが露悪的過ぎると思わずにはいられませんでした。

 

 またデュエマパートに関しても問題があります。上述の通り主人公をはじめとしたキャラがそれぞれ意外なカードを使うのは魅力的だったものの、対する敵サイドの使うカードとの違いは大きかったですね。カイザやボウイのようなメインキャラの使用カードが販促上最新パックのメインで固まっているため、環境クラスのデッキと互角以上に戦っていることに違和感を覚えることが何度かありました。

 またデュエルの構成に関して少々無理やりに思える面もいくつか存在しており、中でも有名なのはウィンとカイザの初戦。カイザのシールドの防御札の多さといった不自然さで目に付く点のせいで、劇中のキャラの実力とのチグハグさには少し戸惑ってしまいます。販促という縛りと様々なカードを使う折り合いがあまりついていなかったのでしょうか、とつい邪推してしまいます。

 

 そしてこれは非常に個人的な考えですが、販促アニメとしてこれは如何なものなのか?と思う面もありました。環境デッキや特殊パックのカードが次々と話題になる中、肝心の基本パックのカードの活躍がほとんどなかったのは気になりましたね。それらを使用するD4のメンバーの出番がほとんどなかったため、タマシード/クリーチャーやシビルカウントといった魅力的な新要素があまり押し出されなかったことにそこはかとなく不満を覚えました。(特に水と自然のデッキはイッサとファルゴのデュエマが1回しかなかったのでほとんど印象に残りませんでした)

 他にもプレイングが玄人向けになりすぎて、デュエマ初心者や未経験者が見て楽しいものなのだろうか?といった疑問を抱くこともありましたね。実際のところそういった内容に喜んでいるのはデュエマ経験者だけで、デュエマを全く知らない・これから始めたい人にとってはわけがわからない光景が広がっているのではないかとつい考えてしまいます。あくまで経験者の妄想でしかないものの、デュエマの様子を現実に寄せすぎたことで、初心者への間口がかえって狭まってしまっている可能性もあるかもしれないと考えずにはいられません。

 

 

 総評としては「新たな主人公の物語として堅実なスタート」といったところでしょうか。新主人公のプロローグとして手堅い、かつこれからに期待が持てる始まりが見れたと思います。上述の通り気になる不満点や放置されたままの伏線・布石があるものの、それらは少しずつ解消していけばいいものなのでそこまで問題視するほどのことでもありません。むしろ今後の解決が楽しみになってきます。

 何よりジョー編完結に大きなロスを感じていた身としては、ウィン編の素敵なキャラクターとストーリーには大いに癒されました。主人公交代という1大イベントをこなし、デュエマの主人公として受け入れられたウィンには安心感を覚えます。これからのデュエマを引っ張っていく存在として、ウィンの活躍に一層目が離せません。

 

 

 では以下、各キャラクターについての所感です。

 

 

斬札ウィン

 新たなるデュエマの主人公。上述の通りデュエマの上級者らしいプレイングや余裕の態度を見せつけ、かつ圧倒的な強さを発揮するかつてない主人公像を見せてくれました。それでいて父親想いで友達との仲もいい、何よりデュエマ大好きという好印象が抱ける要素満載の男の子として見ていてほっこりしましたね。

 一方で彼の秘密などについても気になるところ。現時点では匂わせ程度で済んでいますが、要所要所で見せる闇の深さには目を見張るものがあります。デュエマ中にクールな態度へと変貌する理由や邪神くんを操れる能力に関しても言及がなく、これらがウィンの物語にどう影響していることが語られる瞬間が実に楽しみです。

 

 

邪神くん(アビスベル=ジャシン帝)

 ウィンのキリフダにして相棒。深淵にて封印されていた邪神という恐ろしい背景に反して、ウインナーにつられてしまうチョロい奴として描かれていたのが面白おかしかったですね。彼が従えるアビスロイヤルのコミカルさも相まって、前シリーズにおけるジョーカーズのような“日常の賑やかしポジション”を獲得したと言えます。

 しかし裏ではウィンを利用して完全復活を狙うなど、根は邪悪な存在であることが見受けられる要素も忘れてはいません。ウィンとは表面上仲良くしているようでいて、実際は都合のいい駒同然のように考えている点はまさに邪神といったところ。同時にそんな邪悪な相棒が如何にしてウィンに心を開いていくのか、といった期待もしてしまいますね。

 

 

プリンス・カイザ

 火文明使いのライバルにして本作のボスキャラ。劇中における「最強」の称号を持つものとして度々描かれており、存在感は中々のものだったと思います。少しだけ語られた境遇や相棒の鉄仮面の男(ボルシャック・カイザー)との関係も主人公らしくヒロイックで、個人的にもお気に入りのライバルキャラとなりました。

 ただ本作に限っては上述の過激な発言・行動が目に付いてしまったのが痛いですね。おかげで彼に対して悪辣なイメージばかりが大きくなってしまったように感じます。決して過激なだけではない気高さや真面目な一面も内包していることを理解している身としては、次回作では何としてもそういったライバルらしいカッコよさを魅せてほしいものです。

 

 

覚知山ボウイ

 光文明使いのライバル、そしてウィンの親友。当初はお金持ちキャラ特有の鼻に付く態度を見せてくるのかと思いきや、蓋を開いてみれば真面目で健気な少年だったのでかなり驚きました。そして努力家な一面もあり、そんな彼のまともっぷりにすぐ魅了されましたね。そして作画スタッフの暴走のせいでやたらヒロインっぽく描かれるのが好き。

 前半のエピソードのメインと言ってもいい存在でもあり、実力はあるものの精神的にはまだまだ未熟な彼が少しずつ前向きになっていく展開が特に素敵でした。いくらか自信がついてからは頼もしくなったと思うので、これからウィン側とカイザ側を取り持つ良き橋渡しになってくれることを期待したいです。

 

 

カレン

 本作のヒロイン。カレンちゃん可愛いよカレンちゃん!!白いワンピースと帽子というビジュアルは名前の通り可憐で、同時に可愛らしい見た目とは裏腹にデュエマの腕はガチというギャップが魅力的な少女でした。デュエマの女性キャラで最初から活躍する子は実は少ないので、序盤から実力者として描かれていたのも意外でしたね。

 さらに終盤ではその実態はニンジャというとんでもな正体を明かしたことも印象深いです。その時のニンジャ装束の色っぽさたるや……いいよね……彼女がカイザに従っていた理由や仕えている「主」については結局詳細が明かされないまま終わってしまいましたが、それはこの先語られることでしょう。またその件に関して今後のウィンとの関係に色々と妄想が膨らみますね。

 

 

 そして次回からは『デュエル・マスターズ WIN 決闘学園編(デュエル・ウォーズ)』の感想を書いていく予定です。デュエマの歴史においても珍しい学園モノということで、どんなイベントが描かれていくのか非常に楽しみな作品でもあります。ウィン編の本格的な物語となるであろう新シリーズ、感想の方もどうぞよろしくお願いします。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

 

 

↓以下、過去の感想一覧です。

 

 

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