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仮面ライダーガッチャード 感想(総評)

それが俺のガッチャ!!

ここ数年で最も楽しめた仮面ライダーだったかもしれない……!

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 令和仮面ライダー第5作目である『仮面ライダーガッチャード』。久々にカードを変身アイテムとして使用するほか、学園青春モノ×錬金術師の要素を見事に掛け合わせ明るく・楽しい作品として大いに印象に残りました。良くも悪くもクセの強い令和ライダーの中でも抜群の見やすさを誇っており、僕自身話題性を保ってきた内容を毎週楽しみに視聴していましたね。

 

 

 先に評価点について語りたいと思います。

 本作は上述の通り「明るく・楽しく」をテーマにしているだけあり、ストーリーの大筋は単純明快。主人公の宝太郎たちがケミーを確保しながら、その力を悪用しようとする敵と戦うシンプルな内容を1年通して描き切っていました。奇をてらうことなく、これらの王道を真っ向から見せてくれたのは視聴者としても取っつきやすくて面白かったです。また要所要所でシリアスで仄暗い展開も挟まれていましたが、それらは1話か2話以内で解決するので引きずり過ぎない塩梅に仕上がっていたのも見事。物語に必ずカタルシスを用意することで、どんなに暗くても露悪的にならず、むしろ次回への安心感を引き出していたと言えます。

 主人公たちに襲い掛かる曇らせ然りそれらを晴らす反撃然り、どの展開もある程度予想出来る一方驚きも内包していたのがまた面白かったですね。予告などで大まかな展開がわかってしまう中で、細かい描写で度肝を抜いてくる構成には舌を巻くばかり。(37話のホッパー1マルガムなどはその最たる例かもしれません)そしてカグヤ/仮面ライダーレジェンドや未来から来たデイブレイクに繋がる映画など、様々な驚きを各所に仕掛けてくれたので中弛みすることなく最後まで話題を重ねていたのが面白かったです。まさに「期待を裏切らず予想を超えてくる」の言葉が相応しいサプライズの塊でした。

 他にも登場人物の扱いにもかなり気を遣っている印象を受けました。変身しない仲間にも何かしらの役割や持ち回りが存在し、必要な存在として度々活躍していたことが目立ちます。(曇らせ展開ではその丁寧さを活かして「誰もが最適な行動をしていたものの一歩及ばない絶望感」を描いていましたね)さらにはサブキャラにもメイン回が用意されており、彼らの掘り下げがしっかり行われていたのも好印象。おかげどのキャラにも愛着が湧いてきましたし、劇中の行動から真意を読み取りやすかったです。また終盤に入る頃にはゲストキャラが再登場するなど嬉しい展開も多かったのも素敵でしたね。

 

 作品のテーマに関しては過去の感想でも度々触れてきた「諦めずに前に進むこと」と、もう1つ「異なる存在との交流」が挙げられます。前者は言うまでもなく本作の作風そのもので、どんな絶望を味わって立ち上がる宝太郎たちの心意気そのものを描いていたと感じています。変化することや何かに挑戦することの不安、失敗した時の恐ろしさなどにも触れつつ、それでも挑戦することを止めない姿勢が魅力的に映っていました。傷付きながらも愛と勇気と友情で乗り越え、成長し続けるという点はある意味で「人間賛歌」に近いモノがあり、それらを視聴者に向けてくれたことに好感が持てます。(人間賛歌といえば、本作の面白さは『ジョジョの奇妙な冒険』に通じるものがあると個人的に思っています)

 続いて後者ですが、こちらはケミーとの絆がまず1つ。物語における重要なモンスターと触れ合い、仲間となっていく過程の丁寧さは見ていて非常に心地よかったです。ケミー自体も愛嬌たっぷりに描かれており、ポケモンを彷彿とさせる「一緒にいたい相棒」としての雰囲気を醸し出してくれました。また主人公たちに限らずケミーと心を通わせるゲストキャラが多く登場し、彼らの存在もあってケミーと人間の可能性という本作の方向性が捉えやすくなっていたと思います。

 そしてケミーだけでなく、登場人物同士の交流も見逃せません。こちらに関しては敵である冥黒の三姉妹や、錬金術師と一般人の違いなどに触れつつそれでもわかり合う形を見せたのが大きな見どころでした。特に宝太郎とスパナの関係性は興味深く、考えは異なっていても協力し合うことが出来る点には唸らされるばかり。本作において一種のネタと化している「野生の悪人」と揶揄される存在もいましたが、それらがあるからこそ歩み寄る在り方に惹かれますね。(個人的にはこうしたキャラの絡みでいがみ合うことが少なかったことに感心しました)

 

 続いて特撮作品の置いて重要な戦闘・アクションの側面。こちらに関してはフォームチェンジや、ケミーカードの使い道の創意工夫が大きな評価点となっています。まず本作のメインライダーであるガッチャードですが、フォーム数は歴代ライダーの中でもトップクラス。「ワイルド」と呼ばれるCGや武器形態のみの登場で終わってしまったのもありますが、半分以上が何かしらの役割を以て再登場していました。クロスユーフォーエックスなど唯一性から格落ちしないフォームもあり、影が薄くなることも少なかったです。

 何よりレインボーガッチャードの能力で、これまでのフォームをガッチャーブラザーズとして出してきたのは革命でしたね。ケミーと協力する形で意外な再利用を果たすフォームと合わせて(個人的には48話のバレットチョウチョで膝を打ちました)、過去作と比べても使い捨ての印象はあまりなかったのは誇るべき長所だと思います。変身アイテムや武器も他のライダーが装着していたり、仲間と交換しながら使ったりといずれも終盤まで使用していたのが絶妙の一言。既に初登場時の補正が終わった武器にもスポットを当てており、販促の面でも優秀な描写が光っていました。

 そしてケミーカードも変身アイテムの他、仲間が何かしらの形で活用していたのが印象的。(錆丸たちがケミーライザーでケミーの力を使う場面は何かと目に焼き付きましたね)そもそもケミーが意思を持っているので、それらを活かしてアイテム以上の活躍をする場面が多く見られました。ケミーをアイテムとしてだけでなく、愛すべきキャラクターとして扱っていたからこそ成り立つアクションは何かと楽しめることが多かったです。

 

 

 

 

 さてここからは本作での不満点と問題だと思った点。見たくない方はブラウザバックを推奨します。

 最初に展開の強引さ・解決方法の曖昧さについて。本作は登場人物などの扱いは丁寧だった一方で、劇中で描かれた問題の解決策はかなりの力技ばかりでした。基本的にケミーと人間の絆の物語に着地する都合上、悪いのは人間で済まされてしまうことも多々ありましたね。ケミーの扱いなど首を傾げる部分も多く(ケミー探しでニジゴンを商品扱いするところとか……)、深く視聴するほどツッコミどころが溢れてくる内容も見られました。慣れてくれば本作ならではの“味”として楽しめる部分もありますが、細かいところで引っ掛かってしまうことは少なくなかったです。

 次に設定に関して不明瞭だった点。錬金術の詳細などが明かされなかったのもありますが、何より冥黒王周りのややこしさには頭を悩まされました。これらは仮面ライダーWEBでいくらか説明されている部分があるものの、本編を見るだけでは理解しきれないのは大きな問題ですね。同時にレジェンドの特別編や映画とのリンクも密接に描かれており、それらを視聴していない人に対して不親切だったのはいただけません。作品のリンク自体は好みですが、何かしらのフォローも用意すべきだったと考えます。

 また本作終盤の大忙しな内容も目につきましたね。上にも書いた通りサブキャラの掘り下げを丁寧にやっていた反面、後半に入ってからも単発前後編になってしまう事態となっていました。そのためかクライマックスに入ってからは冥黒王など倒すべき敵の多さや記憶を取り戻した一般人の扱いなど、果たすべきことが次々と舞い込んでてんやわんやになっていたことに不満を覚えます。ただこの問題に関しては本筋を優先するとサブキャラの影が薄くなる危険性がありましたし、彼方立てれば此方が立たぬともいえる状況なのがもどかしいところ。そのため一概に良い悪いで決められないのが複雑です。

 

 あとはやはり宝太郎を中心とした構成の弊害でしょうか。主人公を物語の最重要なポジションに置くのは当然のことですが、その結果りんねやスパナたちサブライダーの活躍に若干の陰りを見せていたのが気になりました。特にスパナは劇中で宝太郎たちと別行動を取ることが多かったせいか、大筋に関わる場面が少なくなってしまったことが残念に思います。(その分鏡花さんやラケシスとの関係は他とは違った魅力を引き出していたのは評価したいです)宝太郎周りの関係性が楽しめた反面、彼が関わっていないキャラクター同士の絡みをもっと見てみかったところです。

 主人公中心はライダーとしての活躍も含まれており、ガッチャードの豊富な活躍に反してマジェードやヴァルバラドは終盤に行くほど目立たなくなっていました。この2号・3号ライダーに関しては最強フォームの登場もラスト数話と非常に遅く、強さの格は保ったものの戦闘シーンが少ないままだったことが致命的な問題と言えるでしょう。下手にやられ役をさせられない問題もあるのですが、そのために終盤で出すというのは少々極端すぎやしないかと思いましたね。

 

 

 総評としては「こういうので良いんだよ!を突き詰めた王道」といったところでしょうか。ヒーローが人々を守るために戦い、勝利するという方程式をひねくれることなくストレートに描き、爽快感をもたらしてくれる作風は本当に素晴らしかったです。そして登場人物やライダーの各フォームなど、いずれも大切に扱っていることがわかる丁寧な描写の数々のおかげで、子どもも大人も楽しめる作品として信頼出来る仕上がりになっていた思います。(幼い頃に平成ライダーを見て育った世代が、こういったものを見たいという想いで制作したかのような印象も受けました)個人的に令和ライダーどころか、ここ数年のライダーの中でもトップクラスに楽しめた名作として扱いたいですね

 

 

 では以下、各キャラクターについての所感です。

 

 

一ノ瀬宝太郎/仮面ライダーガッチャード

 本作の主人公。「ガッチャ!」を口癖とした強烈なキャラクターと、等身大の高校生らしさに親近感を覚える少年でした。喜怒哀楽がハッキリしているのもあって、見ていて非常に楽しかったです。(中でもスパナをはじめとしたスカした相手には最初対抗心を抱くのが可愛らしかったですね)友人やケミーといった仲間を大切にする性格も一貫しており、夢に一直線なところもあって応援したくなる主人公に仕上がっていたと思います。

 そんな宝太郎を挙げるうえで外せないのが心の強さ。どんなに打ちのめされても立ち直り、必ず前に進む鋼のメンタルには何度も舌を巻きました。励まされるかと思いきや逆に相手を励ます側に回っていた38話など、この不屈っぷりには驚きと同時に安心感を覚えます。それ故どんなに暗くなっても次回辺りで明るくなる作風、そして「諦めずに前に進む」作品のテーマを見事に体現した少年でもあったと言えるでしょう。

 

 

九堂りんね/仮面ライダーマジェード

 ヒロインにして2号ライダー。序盤こそ冷静で感情の薄い少女という印象を受けましたが、物語が進むにつれ個性がドンドン爆発していったのが面白かったです。(お化け屋敷で大笑いするところとか)そして父・風雅や宿敵のアトロポスとの関係も濃く、それらの問題を乗り越えることで成長していくもう1人の主人公の側面もあったのかと思っています。

 何より宝太郎との関係が大きな見どころ。最初こそただの同級生だった中、徐々に距離を縮めていく様子は微笑ましくもあり、こそばゆくもありました。ちょっとしたラブロマンスに発展しそうでしない、友人以上恋人未満のやり取りに悶えてしまう時が何度もありましたね。そのハッキリとしない部分もまた、ある意味でりんねの魅力と言えるかもしれません。

 

 

黒鋼スパナ/ヴァルバラド/仮面ライダーヴァルバラド

 2号ライダーっぽい3号ライダー。序盤は何かと宝太郎に突っかかってくる辺りが平成2号っぽかったものの、話が進むにつれそれだけでは留まらないキャラクターであることが伝わってきました。汚れ役を真っ先にやろうとするなど真面目な一面も多く見られており、キザでニヒルだけど嫌味ったらしくないのが興味深かったです。

 宝太郎への認識に関しても絶妙でしたね。宝太郎の夢には理解を寄せないものの、彼個人は次第に認めていっている点にニヤリときます。他にも組織の上役だろうと時には噛みつく姿勢も、彼なりの美学や信念あってこそだと踏まえると納得のいくものばかり。そんな彼だからこそ、ラケシスなどに心を開いていく過程が魅力になっていたのも良かったです。

 

 

銀杏蓮華

鶴原錆丸

ミナト

枝見鏡花

加治木涼

 錬金術師や学校での仲間たち。いずれも日常パートの賑やかしになっているほか、戦闘で意外な活躍を果たすなどそれぞれに見せ場が用意されていたのが特筆すべきポイント。変身出来ずとも宝太郎たちの力になってくれたり、彼らを支えてくれる存在感には何度も癒されました。個人的にはやはり加治木が印象的で、何かとコミカルな役回りで笑いつつもいざという時の「無くてはならない友人ポジション」が大いに気に入っています。

 

 

アトロポス

クロトー

ラケシス

 冥黒の三姉妹。敵として序盤から物語を引っ掻き回しながら、それぞれ個性豊かなキャラクターとして多大な印象を与えてきました。人形でありながら人間臭い部分も数多く持っており、彼女らが抱える葛藤の数々に何度も心動かされましたね。(中でもクロトーは中盤からずっと不憫で不憫で……)最後には全員死亡してしまいましたが、それとなく救いがあったかと思います。

 

 

グリオン/仮面ライダーエルド

 第2章以降登場してきた本作のラスボス。何気に初期から登場してそのままラスボスになり、夏映画でもボスキャラに据えられた珍しいポジションですね。初登場から得体の知れない部分を出しながら、徐々に明らかになっていく小物っぷりと性格の悪さに何度も辟易することとなりました。ただそういったねちっこさがかえって悪役として魅力になっていたのも事実。

 何より前に進む宝太郎に対して、永遠を求める姿勢を最後まで見せていたのも敵ながら天晴。本作の大人キャラが頼りになる分、グリオンの歪さがより際立っていたと思います。ラスボスになったことには最初こそ驚きましたが、本作のテーマ性からして最後の敵として何ら異論はないどこまでも特異な存在でした。

 

 

 というわけでガッチャードの総評でした。前作の『仮面ライダーギーツ』に手こずった分こちらもどうなるかと思いましたが、何とか書き上げることが出来てホッとしています。作品としてシンプルかつポジティブなため、まとめるのもそこまで苦ではなかったですね。思いのほか楽しめたのもあって、感想も毎週書いていて楽しかったです。

 さてこれでガッチャードに関しては一旦終わりですが、その後の物語の方にも期待せずにはいられません。現在放送している『仮面ライダーガヴ』と共演する冬映画は間違いなくあるでしょうし、Vシネで続きを見られる可能性も残っています。いずれも情報は未だにないものの、焦らず宝太郎たちの次なる活躍を待っていく所存です。

 

 

 ではまた、次の機会に

 

 

 

↓以下、過去の感想一覧です。

 

 

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