新・メタレドの楽しんだもん勝ち!

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仮面ライダーギーツ 第1話「黎明F:ライダーへの招待状」

さぁ、ここからがハイライトだ

己の欲望(デザイア)を満たし、生き残るのは誰だ

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 いよいよスタートした令和ライダーシリーズ4作目『仮面ライダーギーツ』。自身の願いを賭けた生き残りゲームで繰り広げられる戦いという前情報に対し、初っ端からフルスロットルな展開を見せつけてきた本作の内容に早くも驚愕していました。様々な疑問とワクワクが当時に湧き上がってくる新たな仮面ライダーについて、今回から語っていきたいと思います。

 

 

  • 変えられる世界、軽んじられる命

 第1話は何といっても突然始まった「世界の改変」が衝撃的です。何の前触れもなく謎の怪人「ジャマト」が人々を襲ってくる絵面には度肝を抜かれました。そしてそのジャマト相手にライダーが戦う「デザイアグランプリ」の優勝者が「デザ神(デザしん)」の称号と共に世界を作り替えるラストと、何から何までこちらの予想を覆していく光景にはもう驚くほかありません。今回視聴者視点で本作を見せてくれた「桜井景和(さくらい・けいわ)」のように、ひたすら困惑してしまいましたね。

 また1話からゾッとする描写が至るところで見られたのも本作のポイント。デザイアグランプリそのものに関しては既にゲームが最終局面に突入している辺りから描かれているのですが、既に約30名もの脱落者の存在が明かされているのが恐ろしいです。そのうえ景和たちを助けてくれた「仮面ライダーシロー」こと「豪徳寺武(ごうとくじ・たけし)」がドライバーを破壊されてあっさり脱落するシーンもショッキングで、ゲームの参加者が容易く消えていく無情さに絶句してしまいます。

 参加者に限らず一般人の被害もエゲつないです。ジャマーエリア」なる謎の空間に閉じ込められ、ジャマトに襲われる光景には恐怖を覚えました。景和たちは豪徳寺に助けてもらったものの、他のライダーはまず自分のスコア目当てでジャマトと戦っているでしょうし、基本一般人はジャマトに蹂躙されるだけという完全なとばっちりです。それだけならまだしも、世界の改変が行われた後は襲われた人も何事もなかったかのように暮らしているのがかえって恐ろしいですね。まるで彼らはゲームに必要な「駒」とでもいいますか、デザイアグランプリのために人の生き死にが好き放題されているような世界観には悍ましさばかりを感じました。

 

 

  • 世界とゲームの関係性

 最初は何が何やらと戸惑ってしまいましたが、落ち着いて見てみると本作の世界の在り方が何となく見えてきます。まず今回の描写からして、登場人物たちが暮らす世界とデザイアグランプリは密接に関わっているのがわかります。世界を改変するためにデザイアグランプリがあるのか、それともデザイアグランプリの舞台として本作の世界があるのか……どちらかはまだ判断出来ませんが、何かしらの関係はあるのでしょうね。案外本作の世界は現実世界ではなく、デザイアグランプリ用に造られた電脳世界かもしれません。

 またデザイアグランプリの優勝賞品が本物であることも興味深いですね。過去作のライダーでは大体願いが叶えられるのは嘘というオチが待っていましたが、本作では優勝すれば確実に世界を作り替えられる意外な結果を1話から見せてきました。ここまでゲームの非常識さに困惑していましたが、これなら多くの人が積極的に戦うことにも納得がいきますね。しかしデザイアグランプリは終わった先からまた新しい戦いが始まるようなので、参加し続けないと改変した世界を維持出来ないのでは?という考えも浮かんできますが……

 あとはやはり参加者の選定ですね。今回のラストで景和を含めて多くの人たちの前に「ツムリ」という女性が現れましたが、主婦や女子高生などバラバラな参加者をどのように選んでいるのか気になります。個人的な予想ですが、今回のゲームでジャマーエリアに閉じ込められた人たちの中から、最後まで生き残った人を選んでいるのではないでしょうか。景和などがいい例ですし、ジャマトの襲撃に遭いながらも何とか生き延びれる強い人間が次は戦う側に回るという理屈もあり得そうな気がしてきます。まだまだわからないことだらけの本作ですが、こういった考察が捗るのは中々に楽しいですね。

 

 

  • 自信過剰(?)な主人公

 そして世界観ばかりに気を取られたものの、本作の主人公である「浮世英寿(うきよ・えーす)」もこれまた奇妙な存在でした。タキシード姿が基本であることはまぁ良しとして、「鞍馬祢音(くらま・ねおん)」を助けてナンパする気だった時の軽さには少々引きました。景和に対する態度もどこか軽薄に見えてしまいます。

 自信満々で話す様子も一見すると自信過剰に思えますが、劇中の活躍を見てみる限り実際に実力も備えている模様。途中から姿を現して良いところを持っていく、その飄々としたキャラクターにはどこか惹かれるものがありますね。とはいえまだまだ掴みどころのない面が目立ちますし、話が進むにつれて何かしらの特徴を見せてくれそうな気がします。

 またそんな英寿がデザイアグランプリに参加する理由・目的も気になるところ。今回は彼がデザ神となり世界を変えたわけですが、一見して普通の世界なので彼が何を変えたのかという疑問が湧いてきます。半年にわたるゲームに優勝して手に入れた「俺の世界」とは一体何なのでしょうか。劇中ではいきなり恐竜の話をし出したり城は昔から云々言ったり「過去」の教訓のような話ばかりしてくるので、彼の過去に何かしらの秘密が隠されていそうな気がしますね。いずれにせよ、今後の英寿の動向が話のカギを握るのは間違いないでしょう。

 

 

  • 始まりの黒き素体&白き銃撃と赤き衝撃の狐戦士

 

DESIRE DRIVER.

ENTRY.

 

 本作のライダーたちは全員が「デザイアドライバー」と「ライダーコアID」を使って変身しているのが最大の特徴となっています。どのライダーも共通した「エントリーフォーム」を持っており、真っ黒なアンダースーツにコアIDに描かれたモチーフとなる動物の頭部を持った姿になります。コミカルな動物の頭部と棒人間の如きボディのアンバラスぶりが目立ちますが、ここから様々な「レイズバックル」で外装を追加しパワーアップしていくと考えるとこのビジュアルにも納得がいきます。さしずめゲーム開始時の装備品を付けていない状態といったところでしょうか。

 

SET.

 

MAGNUM!

 

READY FIGHT!!

 

 そして浮世英寿がデザイアドライバーに自身のIDコアと「マグナム」レイズバックルを装着して変身したライダー「仮面ライダーギーツ マグナムフォーム」。本作の主役ライダーの基本戦闘形態です。狐モチーフの頭部と上半身に装着された装甲が共に白いこともあり、統一感が増した見た目になっています。アンダースーツが黒いこともあって、ギーツの白が非常に映えますね。

 戦闘では専用装備「マグナムシューター40X(フォーゼロエックス)」を駆使した銃撃戦を基本としている模様。連射型のハンドガンモードと長距離射撃型のライフルモードに切り替えることから、遠くの敵との戦いに得意としているのがわかります。しかし近接戦が苦手かと言われるとそうでもないようで、両腕から展開する小型銃も合わせて近くの敵も撃ち抜くといった芸当を見せてくれました。ライダーの基本形態としては珍しく射撃タイプではあるものの、やはり多彩な状況に応じて戦える柔軟性は備えているようですね。そして……

 

SET.    

    SET.

 

DUAL ON!

 

GET READY FOR!

BOOST & MAGNUM!!

 

READY FIGHT!!

 

 マグナムフォームに「ブースト」レイズバックルを装着してデュアルオンした形態「ブーストマグナムフォーム」及びリボルブオンで反転した「マグナムブーストフォーム」。ギーツの基本戦闘形態その2です。白いマグナムに対してこちらのベースは赤、そしてバイクのマフラーが腕や足に装着されているのが特徴的です。(余談ですが、リボルブオンの上下反転シーンが『ビーロボカブタック』の「カブタックのスーパーチェンジに見えたのは僕だけではないはず)

 ブーストは近接戦に特化しているようで、劇中では圧倒的な推進力によるパワーを発揮していました。そこにマグナムが加わることでかなりオールマイティな戦闘力になるようですね。しかも「ブーストライカ」という専用バイク(ギーツが使うとキツネ型ロボに変形するのが可愛い)まで付いてくるなど、他のバックルと比べてもかなり豪華な仕様となっています。

 ただ公式ホームページや配信している動画などを見てみる限り、ブーストは一度使うと戦闘後は無くなってしまう使い切りのアイテムである模様。(この辺りのバランス調整は何ともゲームらしいですね)果たして次ブーストを使うにはどうすればいいのか、どこで手に入れるのか気になるところです。

 

 

 そして次回は新たなデザイアグランプリが開幕。今回は逃げるしかなかった景和や祢音もライダーとしてゲームに参加するようですし、物語としては次が本格的な始まりであることは確実です。ただ景和たち以外にも参加者が数十人いるのが予告映像で確認出来るのですが、果たしてこの中の何人が次回脱落していくのか……その辺りについ注目してしまいますね。

 

 

 ではまた、次の機会に。

仮面ライダーリバイス 感想(総評)

湧きまくってきたぜ!!

本作の回りくどいようで意外とストレートなところがお気に入り

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 先週無事完結した『仮面ライダーバイス』。木下半太を脚本に迎え入れて始まった本作は、自分の悪魔と共に変身して1人で2人の仮面ライダーになるという特殊な性質をストーリーを交えて見せつけてくるかのような作品でした。主人公コンビ以外にも1人で2人の要素がチラホラ見られており、本作は徹底して「もう1人の自分との物語」だったのだと今になって感じます。

 

 

 先に評価点について語りたいと思います。

 まず本作が「家族」についての光と影を描いていたこと。これは放送開始時に何かと話題になっていた要素ですね。主人公が家族との日々を過ごしながら戦うホームドラマ的側面に対し、家族との諍いから生まれる軋轢といった問題を次々と取り上げていく様子が見られました。特に序盤はその傾向が顕著で、家庭と上手くいかない少年少女たちが悪魔と契約して暴走していく展開が多々見られました。

 ゲストキャラに限らず、メインキャラの家族の問題を取り扱っていたのも特徴的。特に五十嵐家は序盤から何かと不穏な描写も多く、その疑惑が膨らんでいった中で両親の過去が明かされるといった展開は中々に盛り上がりました。一見して幸せそうな家族でも、実は……といった多面的な見方が要される内容には心をざわつかせつつ、考えさせらることもありましたね。

 またそこから発展して「個人の闇」について扱っていたのも忘れてはいけません。本作の登場人物はそれぞれ人間性に欠点を抱えているか、あるいは腹に一物を抱えており、その重苦しさが各キャラクターの説明になっていたのが興味深かったです。そういった人間的な問題から上述の軋轢が生まれる例も多く、どこかリアルで生々しい描写の数々は視聴者たちに大きな心象を与えたのではないかと思われます。

 そして「悪魔」はそんな闇の部分の異化であり、同時に本作の象徴として描かれていました。当人が抱えているもう1人の自分だったり、あるいは隠したい感情だったりと本作の悪魔はまるでその人の鏡であるかのような表現が見られます。その鏡と向き合っていくことで自分を見つめ直すのが本作のポイントでもあったわけです。

 

 ではそんな闇の問題を如何にして解決していったのかというと、本作では「受け入れる」という形が比重に置かれていました。異なる自分や欠点を間違いと否定するのではなく、それもまた自分自身と認め、共存していくことを目指していくような展開が多かったですね。光と影のバランスを保つことこそが最善の策だと訴えかけているかのような作風でした。

 また同時に他者との“繋がり”を大事にしていたのも大きなポイント。本作の悪役、あるいは主人公たちと敵対した人物はほぼ全員、自分1人で何かを成し遂げようとする傾向がありました。その結果どんどん本人にとっても望まぬ道に進んでしまい、最終的には袋小路にはまってしまう光景も少なくなかったです。“孤独”であればあるほど生き方が狭まっていく……というのはどうも嫌にリアルに思えます。

 対して主人公側の仲間と協力するやり方が響いてきますが、主人公の一輝はそこから一歩先の、他人へのお節介によって相手を孤独から救い出す方法を貫いているのが印象的でした。仲間との繋がりを以て勝利するという少年漫画的な王道要素がありつつも、相手をその場に誘って助けていく過程を重視していたことが読み取れます。まとめると自分の悪性を認め、自分と他人とも向き合っていくという割とシンプルなテーマがあったのだろうと個人的には考えています。

 

 本筋に関してはここまでにして、次はキャラクターについて。こちらは親しみやすい、それでいて個性の強い人々が多かったのが特徴的でしたね。主人公の一輝は困っている人を放っておけない気のいいお兄ちゃんで大二は真面目でかつ自分が認めた人に対しては人懐っこい、さくらは気が強くどこまでも一直線と、見た目のイメージと全く同じ故にとてもわかりやすかったです。

 同時にバイスら味方の悪魔たちもコミカルで面白いキャラクターが多かったですね。本作のマスコットとしての役割も担っているため、見ていて顔が綻ぶようなコメディシーンの数々を見せてくれました。特にラブコフ辺りは可愛い見た目と発言の毒々しさが何ともキュートです。

 それ故上述で語った各人物の闇が際立っていたと言えます。一輝のお節介はある面から見ればエゴイストといったように、別の角度で見れば歪に思える要素をこれでもかと見せてきました。そしてその裏の顔と表の顔のギャップが激しかったからこそ、本作の主人公たちは魅力的になったのだろうと個人的には考えています。

 

 続けてアクション方面。こちらは毎年進化している戦闘シーンの迫力もさることながら、上述のキャラクターの要素がアクションにも大きく影響を与えていたように感じました。例えばバイスは何かと画面の向こうの視聴者に話しかけるネタを日常パートだけでなく戦闘でも活用していました。他にも弱いため普段は逃げ回るラブコフなど、それらの描写がそのままそのライダーの個性として定着していくのが興味深かったです。

 主人公はコンビでの共闘といったようなライダーごとの戦闘スタイルもわかりやすかったですね。他作品にも当てはまることですが、本作のライダーはベルトが別々だったのもあって異なるギミックがそのまま「どのように戦うか」に繋がっていました。同じバイスタンプでもデモンズやオーバーデモンズのようなボディの一部を変化させる変則的なフォームチェンジも見られましたし、そこから映し出される戦闘シーンのバリエーションもかなり幅広かったか印象を受けます。

 あとこれは個人的な好みですが、リバイとバイスのこのコンビは初期から登場している派生形態の出番が何かと多かったのが嬉しかったですね。何気ない戦闘シーンでもメガロドンゲノムといったフォームが登場し、活躍とまではいかずとも画面を賑やかにしてくれていました。坂本浩一氏が監督を務めた見どころの多いアクション回も多く、戦闘シーンに関しては毎回楽しんで見ることが出来ましたね。

 

 

 

 

 さてここからは本作での不満点と問題だと思った点。見たくない方はブラウザバックを推奨します。

 先に触れておきたいのは急展開の多さ。毎回インパクト抜群の要素を何かしら用意している作品だったため色々と話題になりましたが、その一方で重要な描写をさっさとに済ませてしまったように見えます。序盤のゲストキャラのお悩み相談などはわかりやすい例で、彼らの問題を解決していく過程があっさり気味に感じることがありました。これは本筋の不穏な描写に力を入れていた関係で、それとはあまり関係のないゲストの話を片手間に置いてしまったのではないかと考えています。

 そして中盤からはそれが本筋にも響いてきていたのは明白でした。主要人物の活躍を描いている途中で挟まれる彼らの問題に関して、ざっくりとした展開ばかりを見せられているように思えました。問題の提示自体はしっかりとしているのに解決までの過程に疑問を感じることが多く、視聴中はそれで解決したと言っていいのか?と首を傾げることが何度もありましたね。上述の欠点を受け入れていく作風も、見方によっては問題の棚上げにしか見えなかったのも痛いです。

 

 それと並んで人物描写にも明確な格差が感じられたのも大きな問題。上述の通りゲストキャラの扱いは言わずもがな、ウィークエンド勢の描写などもおざなりに終わってしまったように見えます。それによって光くんといった面々のキャラクターに唐突感が出てしまいました。五十嵐家を中心に話を進めているせいで、その他の人たちを放っておいてしまったという印象は否めません。

 主要人物に関しても暴走や敵対の流れがこれまた唐突に見えてしまいましたね。大二や狩崎の暴走などはあらすじを読み解くと理解出来るのですが、やはりそこまでの筋道に関して疑問を覚えることがありました。それが上述のざっくりとした解決が加わることで、腑に落ちないことも多かったように思えます。

 

 あとはやはり、ヒーローものらしいスカッとする展開が終盤に向かうにつれ少なくなっていたのも気になりましたね。初期の頃はデッドマンズという明確な敵組織が存在していたものの、フェニックスの赤石長官の本性が露になってからは「敵を倒せばいいわけでない」という問題が浮き彫りになってきていました。守るべき人たちが敵の土地に向かうなど戦闘ではどうにか出来ない問題が多く、それが爽快感の少なさに拍車をかけていたように思えます。

 それでいてギフとの対決などはあっさり終わってしまったのがまた残念なポイント。ギフは人類との共存に対する見解の違いなどを見せていたものの明確に倒すべき敵であり、兄弟が如何にして力を合わせて倒していくかが見どころになるだろうと予想していました。しかし実際はさくらの成長イベントの直後の戦闘ですぐ倒されるというスピード討伐で終わってしまったので拍子抜けしてしまいましたね。それ故その後のエピソードを消化不良のまま見ることになってしまいました。

 

 

 総評としては「光と闇、問題と解決のバランスを考えさせられる作品」といったところでしょうか。不穏な描写や問題の提示などをしっかりとやっていた一方で、その解決までの道筋には苦言を呈したくなることが何度もありました。毎週毎週のインパクトに力を入れていたのもあって、それらの粗雑な部分が表面化してしまったようにも感じられます。

 とはいえ一輝とバイスの関係や各人物の描写など、素敵なポイントがたくさんあったのも事実です。不穏なものを扱っていながら、最終的には「家族の絆」「自己の肯定」といったポジティブな話に落ち着いていったのも素晴らしかったです。異なるもの・一見して悪いことを頭ごなしに抑えつけない作風には好感が持てますね。そういった意味で本作もまた、見ていて良かったと思える作品でした。

 

 

 では以下、各キャラクターについての所感です。

 

 

五十嵐一輝/仮面ライダーリバイ

 本作の主人公。序盤から明るい兄貴として描かれている一方で、抱えている闇の深さを見せつけていくようなキャラクターに惹かれました。他人のことを見ているようで見ていない、自分の信じる正しさを押し付けていくようなエゴイストぶりはまさに本作の光と闇を体現していると言えます。そのうえ戦うたびに家族との記憶を失っていくデメリットを背負ったりと、とにかく歪さと不憫さが感じられる主人公です。

 そこからの解決の糸口を見つけていくのは本作全体の特に重要な本筋でもありました。相棒のバイスからの肯定や家族からの激励、そして自分が助けてきた人々の協力もあってようやく自分自身の夢を終えるラストには不覚ながらウルっときましたね。そのためバイスという作品は、一輝が自分を認めていくまでの物語だったのだと感じました。

 

 

バイス仮面ライダーバイス

 本作のもう1人の主人公。お茶目でお調子者なコメディリリーフとしての顔と、どこか凶悪そうで油断がならない面が同居しているのが特徴的でした。声を担当している木村昴さんの演技もあって、本作の代表的なキャラクターに仕上がっていたと思います。

 中盤からは一輝を思い遣る描写が多くなり悪魔らしさは薄れてきましたが、その分人間臭さが増大し一気に愛着が湧いてきました。どこまでも自分を認められない一輝に代わり、彼を肯定してあげる存在として頑張っていたと言えます。振り返ってみると、ある意味で本作の「もう1人の自分」としての悪魔だったことがわかりますね。

 

 

五十嵐大二カゲロウ)/仮面ライダーライブ仮面ライダーエビル

 2号ライダーにして弟キャラ。何かと可愛がられやすく、同時に一輝のお節介に異を唱える役どころも多いポジションでした。良くも悪くも真っすぐで、それ故カゲロウのような鬱憤を抱えたもう1人の自分との対峙が中心に描かれていました。

 カゲロウが一旦退場した中盤からは何かと暴走する展開が多く辟易していましたが、44話のカゲロウ復活からの流れはそれらを吹っ飛ばすカタルシスでしたね。純粋すぎるが故に悩み誰かの助けを得て初めてその正義が輝く、放って置けない弟君だったと思います。

 

 

五十嵐さくら/仮面ライダージャンヌ

 3号にして本作の女性ライダー代表。初登場時から強気で何ものにも臆さない性格が印象的でした。直情型のため家族と口論になりがちだったものの、最終的には自分を貫いていく異様な押しの強さも光ります。

 戦えない自分の弱さや花(アギレラ)との関係などで見られましたが、弱音を吐くことはあっても迷わない・諦めない姿勢には好感が持てました。自分の弱さの象徴であるラブコフとの付き合い方もあって、強さを癒しを同時に魅せてくれていましたね。

 

 

五十嵐元太/仮面ライダーデストリーム

 ほぼ毎年出てきている気がする父親ライダー。当初は動画撮影のために銭湯を売り飛ばそうとするなどとんでもない行動に出るダメ親父っぷりに呆れましたが、25話で衝撃の真実が明かされた時は本当に驚きました。前半と後半で印象が180度変わった最もインパクトのあるキャラでしたね。

 過去の不憫さや家族への想いも明かされ一気に良き父親として定着していく中(『セイバー』の尾上さんといい、最近の父親ライダーは善良で大変よろしい)、ベイルとの決着の付け方は本当に印象的。上述の自分の闇を受け入れていくテーマを見事に体現し、まるで前作主人公のような活躍を見せてくれたことには感謝したいです。

 

 

五十嵐幸実

 本作の一般人枠にして、主人公たちの帰るべき場所。母親として一輝たちを見守る存在として最後まで変身せずにそのポジションを保ってくれていました。末っ子で女の子のさくらが戦うことに反対するなどどこか前時代的な考えもありましたが、個人的にはそこまで気になりませんでしたね。

 家族に対してアドバイスするだけであまり自分から動かない放任主義良く言えばみんなを信じている、悪く言えば無責任と思えるなど色々と複雑な面も目立ちます。とはいえ家族への愛情があったのも事実。完全無欠の聖母とはいかずとも、決してダメな母親ではない不思議なバランス感覚がありました。

 

 

門田ヒロミ/仮面ライダーデモンズ

 出番的には2号だけど形式的には4号ライダー。本作屈指の人気キャラであり、本来1話で退場するはずだったものの大出世を遂げた人物です。正義感に溢れていてかつお茶目と隙の無い性格、ベルトの副作用に苦しむなど不憫さも目立っていました。ギャグ方面での見せ場も良き。

 不安な場面を見せるものの基本的には善良で、登場回では一貫して安定したメンタルを見せていたと思います。それどころか終盤は大二や狩崎に寄り添う重要な役割も担ってくれていました。特別ではないからこそ正しくあれた、本作の光の側の代表的存在ですね。

 

 

ジョージ・狩崎/仮面ライダージュウガ

 本作の開発者枠。ただのマッドサイエンティストでは収まらず、仮面ライダーのファンという奇抜な設定で話題となりました。常にハイテンションで人を小馬鹿にしたような態度が何とも言えない味を見せてくるキャラで、序盤は敵か味方について気になっていた記憶があります。

 しかし終盤、父・真澄が出てきてからは親に振り回される存在として本作の闇の部分を背負う羽目に。ぶつかりながらもわかり合えた五十嵐家とは対照的に、交流を避けていたが故に最後までわかり合えなかったという無情さには同情しました。父親の前では感情的になるなど気丈に振る舞っている子どものように見えてきて、最終的には一気に愛着を抱きましたね。

 

 

 そして次回は『仮面ライダーギーツ』の感想をスタートする予定。数多くのライダーが自分の願いを賭けた生き残りゲームに臨むという、殺伐とした展開が期待出来る作品となりそうな予感がします。令和ライダー4作目がどうなっていくのかも非常に楽しみです。感想の方も例年通り毎回書いていく所存ですので、これからもよろしくお願いします。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

 

↓以下、過去の感想一覧です。

 

 

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2022年夏アニメ簡易感想 その19

 

 

 

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 来月に放送が迫っているガンダムシリーズの新作『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のPV第2弾が先日公開。僕もチェックしてみたのですが、予想よりも爽やかなイメージを覚えました。学園を舞台にMSを駆っていく生徒たちの群像劇、という事前情報の通りの世界観もさることながら、主人公・スレッタの天真爛漫そうなキャラクターが印象に残ります。おのぼりさんながら目的のためにひた向きに頑張る……そんなパワーが彼女には感じられます。YOASOBIさんの主題歌も相まって、かなり明るい気分になりましたね。

 一方で生徒たちのセリフなど、不穏な要素も見え隠れしているのがまた面白いところ。それぞれ大人たちの思惑のために利用されて・あるいは利用していく彼らの物語にも注目が集まります。(あとチラッと映った謎の無機質ヘルメットのお姉さん吹き出してしまいました。あの人が本作の仮面枠なんでしょうか)様々な少年少女たちが描かれていくであろう本作の放送が楽しみです。

 

 

 というわけで以下、今週の簡易感想です。

 

 

※今週の『ラブライブ!スーパースター!!(2期)』はお休みだったため感想はありません。

 

 

 

ポケットモンスター

第123話「セミファイナルⅡ 『幻惑』」

 念願のサトシVSシロナの対決は、シロナ側が圧倒していく展開が目白押しでした。初手不意打ちから始まり催眠夢喰い、てんめぐエアスラと現実の対戦でも猛威を振るった手でサトシに何もさせずに追い詰めていく様は、まさにチャンピオンに相応しい風格です。サトシの手を知り尽くしているからこそ、あちら側の策を先回りして封じているのがわかりやすかったですね。

 中でも印象的だったのはやはりミカルゲでしょう。カイリュー、ゲンガー、ピカチュウとサトシの主力を次々と倒していくのもあって、個人的に今回のMVPだったと思います。特にピカチュウに敗れても道連れで倒し、役割を終えたいぶし銀な活躍に惚れ惚れさせられます。

 もちろんサトシの方も負けじと応戦していたのも良かったですし、ピカチュウが『DP』で編み出したカウンターシールド戦法を再び披露してくれたのがファンとしては嬉しいところ。攻撃は最大の防御」というサトシのスタイルを体現した技の応酬には思わずニヤリとしてしまいます。

 

 

Engage Kiss

第10話「待ち望んだ最悪」

 シュウの母親に成りすましていたアスモデウスの目的が「シュウの妹・カンナをゲートにして大量の悪魔を召喚する」ということが判明し、それを止めるための最後の戦いがいよいよ始まりました。しかし事実を隠蔽しようとするミハイルたちが道を阻んだり、カンナを殺すことで事を終わらせようとしているシャロンと戦ったりと人間同士の諍いがメインだった印象を受けます。この辺りはそれぞれの思惑が入り乱れていて中々にドキドキハラハラさせられましたね。(そんな中実質アヤノに脅されたものの自分から親友に情報を漏らしてくれる凛花(リンファ)がここすきポイント)

 そして今回はシュウの様子が興味深かったですね。マイルズの記憶をまるごと失ったせいか、自分の目的やアヤノの名前すら忘れかけていたことには思わず絶句してしまいました。アスモデウスが見せた母の顔も躊躇なく撃ち抜いた辺りで、彼にはもう過去の記憶はほとんど残っていないという事実を嫌でもわからせられてしまいます。

 それ故か唯一覚えている繋がりであるキサラへの情が深くなっていたのも印象的。すぐさま助けに来るなど、シュウにとってはもうキサラしか残っていないのかもしれません。キサラはキサラで自分のことしか見ていないシュウにショックを受けていたのがまた辛いですね。以前「最後に私が側にいればいい」といった旨の発言をしていましたが、シュウがシュウでなくなっていく現状に耐えられなくなっているのは明確です。シュウの1番になりたいけどそのために彼を犠牲にしたくない……そんなキサラの優しさが感じられました。薄々思っていたけど、やっぱりヤンデレに向いてないよこの子……

 

 

リコリス・リコイル

第10話「Repay evil with evil」

 千束の「喫茶リコリコ閉店」宣言が初っ端から飛び出したことに驚きっぱなしだった冒頭。千束の今後を考えると当然の選択ではあるのですが、今もなお明るく過ごしている彼女の姿を見ていていると前回から引き続いて胸が痛みました。たきなに続いてクルミたちまでもがリコリコを離れていく展開は、まるでこの日常がもうすぐ終わることがゆっくりを自覚させてきているかのように感じました。

 中でも後半の千束とミカのやり取りは目に焼き付きましたね。吉松と千束の間で板挟みになっていたミカの吐露は悲しいと感じる一方で、それだけ千束のことも考えてくれていたという安心感も覚えました。千束もそれを理解したうえで「私のしたかったこと」を全力でさせてくれた2人の父親に感謝するなど、確かな親子の絆を感じ取りました。千束の晴れ着姿もあってこのシーンは泣かずにはいられませんでしたよえぇ。

 そしてDAと真島の対立は、真島の方が一歩リードしてみせた印象でした。汚いことを隠して成り立つ平和を壊すためにリコリスの存在を世に知らしめようとしている目的も明らかになりましたし、裏をかいて民衆を巻き込んだ作戦に感心させられます。まぁ一般市民に戦いをあおるやり方はマスターロゴスかよとか思いましたが……またDAのマキャベリズムや真島の思想、そしてアラン機関の柱の如き狂気の精神性の吉松と、それぞれの歪んだ一面が見え隠れてしていたのも興味深かったです。おかげで狂犬たきなの行動っぷりがかえって癒しになった気分です。

 

 

ドラゴンクエスト ダイの大冒険

第93話「瞳の宝玉」 

 今回はボロボロのダイに代わり、彼らの仲間たちの勇ましさが数多く見られた回でした。前半は何といってもレオナの啖呵が印象的。自分を側に置くことで愉悦を得ようとするバーンに対し、ダイから託されたナイフで傷をつけるシーンのカッコ良さには痺れました。ダイに希望を与えようとしているのはもちろんのこと、自分という非力な小娘が傷をつけたという事実でバーンのプライドをズタズタにしてくれたのでかなりスカッとしました。

 その後はバーンの「瞳の宝玉」によって他の仲間含めて強制的に戦力外にされたのが可哀想でしたが。(特に「レベル外」とはっきり言われたクロコダイン……)それでも後半以降、自分を犠牲にしてでもダイたちに活路を見出させようとするアバンたちのカッコよさも鮮烈な印象を残してくれました。

 その中でも素敵だったのがポップですね。ダイを必死に引き止めながら仲間の戦いを見守っていたものの、アバンが倒れた時は思わず駆けつけてしまう辺りにウルっときました。どんなに冷静に徹していても、やはりポップにとってアバン先生は見捨てられない存在であることがよくわかります。その後アバンがそんなポップにマトリフの面影を見るシーンも含め、この師弟の関係の深さが再確認出来ました。

 

 

遊☆戯☆王ゴーラッシュ!!

第23話「ナルトの華子」

 前作からの定番となっている食べ物ネタのデュエルが本作でもついに登場。しかも今回はつけ麺という題材から予想出来る通り、「大森麺ジャブ郎(おおもり・めんジャブろう)」という忍者デュエリストが相手でした。ユウナの刺客ではあるのですが、つけ麺食べさせるだけで足止めという可愛らしい作戦もあって妙に憎めなかったです。

 というか今回は遊飛たちが「最初の1杯は無料」サービスを利用してバリベルギャー内の888万人分を無料にさせるという横暴があったせいで、つい麺ジャブ郎の方を応援してしまいました。しかも道を封じるために敵が仕掛けたデュエル中、仲間たちは普通に店から出ていたので今回デュエルをした意味はあったのか……?と首を傾げずにはいられません。全体的に主人公側の印象があまり良くなかった回でした。

 一方で役に入り込んだマニャと麺ジャブ郎のデュエルは面白かったです。炎属性の水族VS水属性の炎族というややこしいマッチングもさることながら、デス・ガーディウスとマスクド・ヘルレイザーを麺モチーフに変えたモンスターには吹き出してしまいました。今回はマニャがまたもや負けてしまいましたが(前作といい安立族は中々勝てないな……)、麺ジャブ郎と良好な仲を築けた辺りにもほっこりしましたね。

 

 

 水星の魔女と言えば、7月に公開された「PROLOGUE」が地上波放送されるという情報も発表されました。(本編放送開始の1週間前だそうです)僕はプロローグを見れていないうえ、現在配信しているどのサブスクにも入っていないのでこれはかなり助かりますね。先に見た人たちの反応を見るに何やらとんでもないものが見られるようですが……そちらの放送も実に楽しみになってきました。

 

 

 ではまた、次の機会に。

デュエル・マスターズ WIN 第1話「邪神復活」感想

ようこそ、邪神の世界へ

キリフダを手にした時、デュエマが闇に染まる────

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 ついに始まりました『デュエル・マスターズ WIN』。切札家ではない少年が主人公を務め、これまでのシリーズとは全く別の物語として一新された本作は、早くも衝撃的な内容を見せてきました。楽しそうな雰囲気に紛れ込むダークな要素の数々は、視聴者に「これまでのデュエマとは何かが“違う”」ことを印象付けてきたように感じられます。というわけで今回から、デュエマWINの気になる点などを語っていきたいと思います。

 

 

  • 明るい?得体のしれない?ウィンウィンな少年

 まず取り上げるのが主人公の「斬札ウィン(きりふだ・ウィン)」。上述の通り切札ではなく“斬”札の、全く新しい主人公です。特徴的な青い髪と、最初から小学6年生と年齢が高く設定されているのが特徴的です。

 そんなウィンですが、基本的には「普通にデュエマが好きな普通の少年」という印象を受けましたね。冒頭からカードショップでパックを購入し、当てたカードで友達を一喜一憂する様子は、まるで現実のデュエマで遊ぶ子どもたちのようです。中でも《ボルシャック・ドラゴン》のことが特に好きな辺り、カッコいいドラゴンに憧れる男の子らしさに溢れていると感じました。

 父親のパパリンこと「斬札ガッツ(きりふだ・ガッツ)」と共にデュエマの大会に出る際、キャビネットから無数のデッキを選択する様子はいわゆるガチ勢の雰囲気を醸し出していましたが、初心者相手にも親切に教える優しさもあるのが素敵なところ。心の底からみんなとデュエマを楽しもうとする姿勢には、最初から好感を抱きます。

 

 そんな可愛らしいウィンでしたが、ジャシン(邪神)が登場してからはその印象が一転、どこか得体のしれない雰囲気を見せてきました。自分のデッキに入り込んでいた《アビスベル=ジャシン帝》を前に最初は驚愕したものの、臆さず話しかける姿は中々に衝撃的です。その後もジャシンが繰り出してきた「邪神デュエル(邪神ゲーム)」を強要されても即座に順応し、デュエマを楽しんでいたことにも驚かされます。対戦相手の「覚知山ボウイ(おぼちやま・ボウイ)」の胸がジャシンによって貫かれても(無事でしたが)、動じることなく新しいカードをゲットしたことに喜んでいた辺りは中々に怖かったですね。

 また邪神デュエルに入ってからは雰囲気が明らかに変化した描写が興味深いですね。髪も逆立ち、冷静さと荒々しさが同居したようなキャラクターになっていた理由について気になるばかりです。果たしてこれはジャシンの影響によるものなのか、それともウィン自身に秘められた“何か”なのか……?まだまだ謎は多そうです。

 他には圧倒的なデュエルセンスが光っていたのが素敵なポイント。ジャシンたちアビスロイヤルのカードを一瞬で理解して使いこなしたことにはこれまた驚愕しました。(持ってきたボルシャックデッキにジャシンたちが入り込んだシナジーゼロのデッキになってしまってもあまり動じなかったのも印象深いです)墓地のカードをぶん回してボウイを圧倒するところなどは、これまでの主人公以上に“強キャラ”としてのオーラが感じられました。まさに異質な要素満載の主人公として、最高のデビューだったと思います。

 

 

  • 平穏な日常に侵食するモノ

 今回もう1つの注目ポイントだったのが上述のジャシン。黒い影としてウィンに接触しボウイとのデュエマに乱入、山を破壊したり謎の邪神フィールドに引きずり込んだりと初っ端からやりたい放題でした。そして尊大な態度もさることながら、「この世界を征服する」「敵の命を奪う」といった旨の発言を堂々としてきたのが個人的に衝撃的です。悪役であることを隠すことなく主人公と共に戦うクリーチャーもそうそういないです。ここまでウィンたちの平和な日常が描かれていただけに、ジャシンたちの登場はかなりショッキングなものに仕上がっていました。

 余談ですがジャシンの存在が異質に思えたのは、本作の世界観が極めてリアルに近いのも関係していると考えています。思えば本作では上述のカードショップや大会の描写、ウィンのデッキ選択といった現実でもごく当たり前に見られそうな光景が度々映し出されています。その他デュエマやクリーチャーの物語が完全にフィクションとして扱われているのが意外でしたね。ジョーたちが描かれている漫画をパパリンが読んでいるシーンから、本作においてこれまでのデュエマの物語は現実と同じく空想のものであることがわかります。(『デジモンアドベンチャー』における『デジモンテイマーズ』のような関係ですね)

 ウィンたちが暮らしているのがそんな現実的な世界と思うと、そこにジャシンというフィクションのような存在が出てくる様子は実に恐ろしい状況だと言えます。さながら絵巻の妖怪が現実に飛び出してきたかのような感覚を覚えますね。穏やかに暮らす人々の現実にとっては、超常の死を持ち出してくるジャシンの存在は極めて異質です。

 

 …………とまぁここまで恐ろしげに書いたものの、デュエマが終わってからはジャシンのドジっ子的ムーブが目立っていたのもあってそこまで怖くなかったですね。殺したつもりのボウイが無事でしたし、何よりカードに閉じ込められてうろたえる様子は威厳も何もなかったです。そのうえ可愛らしい姿になったところで1話が終わったので、最終的にはマスコットキャラとしての印象を抱きました。ここまで邪悪な野望を持っている分、こうしたちょっと間抜けな一面を見せることでこのジャシンというキャラのバランスを取っていくのだろうと思いましたね。

 

 

シェケダン・ドメチアーレ 光文明 (5)
クリーチャー:メカ・デル・ディネロ
パワー5500+
▪️ブロッカー
▪️このクリーチャーが出た時、自分の光のクリーチャーまたは光のタマシード1つにつき、カードを1枚引いてもよい。
▪️自分の光のクリーチャーと光のタマシードを使うコストを2少なくする。ただし、コストは0以下にはならない。
▪️シビルカウント5:自分の光のクリーチャーまたは光のタマシードが合計5つ以上あれば、このクリーチャーのパワーを+10000し、「T・ブレイカー」と「このクリーチャーが攻撃する時、相手のクリーチャーを1体選んでもよい。相手はそれをシールド化する」を与える。

 ボウイが繰り出してきたスーパーカーデッキの切り札。「メガ・ソル・ディネロ*1という新種族を引っ提げてきた新たな光文明のクリーチャーです。クリーチャーと言っても車をモチーフにしているせいか、生物らしさはほとんど感じられませんね。前面のライトが過剰なほど多いくらいで、あとは普通の高級車のような見た目をしています。(これはこのカードに限らず、メガ・ソル・ディネロ全体の特徴だと考えられます)ただ光文明のクリーチャーはエンジェル・コマンドなど機械的で生物らしさが見られない種族が多いので、このカードはある意味でそれらの系譜を受け継いでいると言っていいかもしれません。

 カードとしてはコスト5、パワー5500のブロッカーと平均的な基礎スペックをしています。登場時に光クリーチャーとタマシードの数分ドローするcipを持っており、手札補充に最適な1枚です。このカード自身もカウントするので、最悪1枚はドローできるのが嬉しいところ。さらに光クリーチャーとタマシードを対象としたコスト軽減まで備えており、それらを横に並べることに特化したクリーチャーだと言えます。

 この時点で十分便利なのですが、新能力「シビルカウント」の条件を満たせばパワー15500とT・ブレイカーを持つ大型クリーチャーへと早変わりするのが最大の特徴。このコストで高パワー&3打点を持てるというのは非常に強力です。上の展開を補助する能力のおかげで、シビルカウント5も容易に達成させられるかもしれません。さらに相手をシールド送りにするアタックトリガーもおまけのように獲得します。そのためシビルカウントを満たしてからはガンガン攻撃していくといいでしょう。

 まとめると中盤は手札を盤面を整えつつ相手の攻撃を防ぐブロッカーとして使用し、シビルカウント達成後はフィニッシャーとして使用出来る万能クリーチャー。状況に応じて実質2枚のカードを使っているような感覚でバンバン活躍出来ることでしょう。一方でコスト5という微妙な重さ故のテンポの遅さや能力の噛み合い具合、そしてクリーチャーやタマシードを減らされてシビルカウントが満たせなくなると元のサイズに戻ってしまう難点も抱えています。しかしそれらを考慮したうえで使いこなせば、間違いなく活躍してくれるかもしれません。

 

 

  • 深き闇の底より目覚めし、死をも支配する帝王

アビスベル=ジャシン帝(てい) 闇文明 (4)
クリーチャー:アビスロイヤル
パワー7000
▪️ブロッカー
▪️W・ブレイカ
▪️自分の墓地にあるアビス・クリーチャーに「アビスラッシュ」を与える。(「アビスラッシュ」を持つクリーチャーを自分の墓地から召喚してもよい。そうしたら、このターン、そのクリーチャーはプレイヤーを攻撃でき、ターンの終わりに山札の下に置かれる)
▪️このクリーチャーが離れる時、かわりに自分の手札を2枚捨ててもよい。
▪️自分の墓地にあるクリーチャーの召喚コストを2少なくする。ただし、コストは0以下にはならない。

 ウィンのデッキに突如として潜り込んだ謎のカード群「アビスロイヤル」。それらを統べる本作の主人公の“キリフダ”です。得体のしれない魔人のような風貌から如何にも怪しげな雰囲気が出ており、玉座に座りふんぞり返る姿も相まって「恐ろしい闇の皇帝」というイメージがよく似合っています。カードとしてはコスト4のクリーチャーですが、そうとは思えないほどの威圧感を覚えるイラストですね。それに触手などクトゥルフ神話」っぽい要素がところどころに見られるのが不穏……

 カードとしては上述の通りコスト4ですが、パワー7000のブロッカーにしてW・ブレイカーという、この軽さからは考えられないほどに高い基礎スペックを誇ります。これまでも低コストで高パワーの闇クリーチャーはいましたが、それらが全て何かしらのデメリット持ちだったこと*2を考えるとそれがないこのカードの破格ぶりが感じられることでしょう。この時点でかなりハイスペックなのに、持っている能力がこれまた強力です。

 まず挙げられるのが手札2枚を犠牲にして生き残る置換効果。1回で2枚も消費するのは痛いですが、あらゆる除去に対応しているのは非常に便利です。この耐性のおかげで生き残ることはもちろんのこと、相手クリーチャーを確実にブロックしても次に繋げたり、トドメの1体として残して置けるメリットが生まれてきます。また捨てた手札も墓地肥しとして考えると決して悪いことではありません。

 そして次に特徴的なのがこのカードの目玉である「アビスラッシュ」の付与。墓地から召喚することですぐさま相手に攻撃出来、ターンの終わりにデッキボトムに戻る能力を墓地のアビス全てに与えられるのは言うまでもなく強いです。強力なアビス・クリーチャーを出して一気に攻めるワンショット・キル性能はとても高いと言えます。そのうえ墓地のカードの使用コスト軽減まで備えているので、手札からプレイするよりも断然お得です。この能力でアビスラッシュを付与したいアビス・クリーチャーとして挙げられるのは……

 

  • 攻撃時にハンデス出来る点が相性のいい《ブック=ラギルップ
  • 攻撃後自壊するので墓地からまたアビスラッシュ可能な《レター=ジェンゲガー
  • シビルカウントも合わせれば最大2体を除去出来る《悪灯 トーチ=トートロット
  • 墓地肥し&アタックトリガー、そして破壊以外では離れない耐性が最高に噛み合う《深淵の三咆哮 バウワウジャ

 

 他にも多数存在します。そのうえ今後もどんどんアビス・クリーチャーは増えていくことはほぼ確定しているので、その分このカードの強さも光ってくることでしょう。ちなみに墓地のカードのコスト軽減はアビス・クリーチャーに関係ないのが嬉しいところ。フシギバースやムゲンクライム持ちはもちろんのこと、《絶望と反魂と滅殺の決断》を少なめのコストで使えるのは魅力的ですね。

 自分だけは確実に生き残り、部下を使い捨てるようにどんどん呼び出していく様はまさに戦場でふんぞり返る皇帝そのもの。圧倒的な能力もあって、実に凶悪なカードと言えます。闇文明を使う新主人公のキリフダに相応しい性能故、早くその強さを味わってみたいものです。

 

 

 というわけでデュエマWIN第1話の感想でした。いやぁ1話から引き込まれる内容でとても面白かったですね。正直感想の方もここでは書ききれないくらいたくさんあります。真面目な一方でふざけたノリも見せてくれる杉田智和さんのナレーションは新鮮でしたし、一方でボルシャックがプロレス技を駆使するデュエマアニメあるあるのシーンも定番で面白かったです。「斬新さ」と「懐かしさ」が同居したかのような作風が癖になります。またキャラだけでもボウイの生意気な可愛さやタコアザラシの「源さん」の存在感(原作漫画と同じくこいつの存在についてまるで説明がないのがじわじわくる)、ショップのギャル店員が何かマブいなど様々なことがこみ上げてきますね。

 またONE N' ONLYさんのOP「Step Up」と上月せれなさんのED「WINNING ROAD」も興味深いですね。どちらも基本落ち着いた曲調で、良くも悪くも激しい曲が基本だったデュエマソングの中ではかなり異質に思えます。どこかほの暗いものが感じられるものの、明るさも決して忘れていない辺りが素晴らしいですね。どちらも上述にも書いた本作の「斬新さ」と「懐かしさ」を同時に感じさせてくれるような良い曲だと思います。

 

 

 さて次回は小さくなってしまったジャシンの逆襲……とはいかず、あっという間に斬札家に受け入れられてしまう模様。特にパパリンにはかなり可愛がられている様子なのが微笑ましいですね。そして1話目から既に怪しかったジャシンの威厳に関しては、次回で完全に消え失せてしまいそうな予感がします。

 そしてデュエマの方はウィンとパパリンの親子対決が繰り広げられるとのこと。しかもパパリンが使うカードたちのガチぶりにビビらせられます。(パッと見た限りでは《覚醒連結 XXDDZ》《R.S.F.K.》《天命龍装 ホーリーエンド》らしきCGが確認出来ますね)ネット上ではこのデッキは【7軸ガチロボ】ではないか?という噂が立っているようですが、果たして……?

 

 

 ではまた、次の機会に。

*1:ディネロ(Dinero)はスペイン語で「お金」を意味する言葉。メガ・ソルと合わせると「お金の機械」という意味になる。

*2:憤怒の猛将ダイダロス》《虚空の翼ダークモルダー》《黒神龍ギランド》などがそれにあたる。

デュエル・マスターズ キングMAX 感想(総評)

限界の限界へ

翼 振りかざせ

ジョーの物語の終わりを、全力で駆け抜けたような約5か月間だった

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 今年の4月に放送開始された『デュエル・マスターズ キングMAX』。ジョー編最後のエピソードと銘打られた本作もつい先日、無事に完結しました。1話目から衝撃的な展開で話題を呼び、その後も毎回怒涛のスピードで話が進んでいくテイストが印象に残る作品でした。全17話とデュエマアニメとしては異例の短さで終わったのも特徴的で、最後の最後に色々と飽きさせないものを見せてもらった気分です。

 

 

 先に評価点について語りたいと思います。

 まず挙げられるのが上述の通りハードかつスピーディーに進む展開。第1話からジョーカーズ星壊滅&デッキー誘拐というショッキングなラストを用意して視聴者を引き込みつつ、その後も1話ごとに物語が大きく進んでいく様子で何かと見入らせていくような構成が見られました。サイドエピソードといったものを最小限にして、本筋を進めることに注力していた印象を受けます。おかげで本作の急展開には毎週楽しませてもらいましたね。

 また本作はギャグ一辺倒だった前作までとは打って変わってシリアスなストーリーが中心だったのも大きな特徴。ジョーにとって辛い仕打ちが続くのはもちろんのこと、敵であるアバク側にも大きくスポットを当てて彼の苦悩を描いていたのが良かったです。主にこの2人の物語が濃く展開されることで、両者の対立が深く感じられるようになっていたと思います。

 他にも過去シリーズのキャラを扱っていたのも素敵でしたね。ウサギ団の復活を筆頭に、ジョー編に登場した様々なキャラや要素を引っ提げて描いたので思いのほかバラエティ豊かに仕上がっていたのは好印象です。これまでの脇役をまとめて登場させるようなネタ回もありましたが、そうした力技を使ってでもジョー編のキャラを全て出そうとする気概が感じられました。

 

 もう1つストーリーに関して特徴的だったものとして、ジョーとデッキー&ジョーカーズの関係について大きなメスを入れていたことが挙げられます。上述の通りそれら全てをいっぺんに奪われるところから物語が始まりますが、そこから「ジョーにとってデッキーとは、ジョーカーズとは何か?」という問題が全体を通して大きく描かれていました。大切なものの喪失を前にして、切札ジョーという少年は如何に行動するのかが重要なポイントだったように思います。

 結論から言うとデッキーとジョーカーズはジョーにとって「卒業」を意味する存在でもありました。喋るデッキケースと自分の絵を元にしたクリーチャーという設定はまるで子どもの空想を形にしたような「少年時代の象徴」そのもの。そんな夢の存在として最後に姿を消すことで、子どもから大人へと少し成長するプロセスをジョーに与えるのが彼らの最大の役割だったのかもしれません。

 思えば劇中でジョーはデッキーたちを取り戻すために力を注いでおり、仲間以上の執着を彼らに見せていました。もちろんそれは決して悪いことではないのですが、そこから一歩先に進むためには大きな「別離」も必要であることを本作では訴えていたように感じます。ジョーにとって辛い別れでしたが、それを乗り越えてさらに新しい道へと進んだ最終回を見た後だと余計にそういった考えが頭に浮かんできます。ジョーカーズたちの設定上こうなることはジョー編1年目から予想していた中、個人的には理想的なジョーの卒業を彼らはもたらしてくれたと思いましたね。

 

 続けてデュエマパートですが、こちらは何といっても「S-MAX進化」が最大の特徴です。相棒のクリーチャーと一体化する触れ込みとは別に、デュエリスト自身がヒーローのように変身する設定には驚愕しました。変身後のビジュアルも大きく変化して、まさしく「登場キャラがクリーチャーになった」というイメージを強く伝わってきます。特にジョーはジョニーかジョラゴンかで変身後の姿が異なる仕様になっていたのが面白かったですね。

 他にも前作のように過去作のクリーチャーがここぞの場面で登場するのも印象的でした。勝太が帰ってきた回のエピソードなどもありましたが、基本的にはジョー編のクリーチャーの出番に注力していたので見ていて嬉しかったです。特に最終回のジョニー&ジョラゴン&モモキングの集結は何度見ても興奮させられます。

 

 

 

 

 さてここからは本作での不満点と問題だと思った点。見たくない方はブラウザバックを推奨します。

 上述の通り短い話数で走り切った本作ですが、その一方で明確な日常回といったエピソードがほとんど見られなかったのがまず問題でした。ウサギ団回など、全17話中3回ほどしかありません。これはアバクたちと戦うという本筋をブレることなく進んでいた弊害と言えます。寄り道を極力減らしたせいで、ジョーたちの平穏を描く機会がほとんど失われていました。

 実際本作を最後まで見てみて、ジョー編の醍醐味の1つであるジョーのおかしな日常がなかったのは残念に思いました。ジョーカーズたちが中々帰ってこれなかった事情もありますが、その代わりにキラたちとのやり取りに力を入れてほしかったのが本音ではあります。本筋が基本重苦しいだけに、これまでの息抜きのようなエピソードが必要だったことをここにきて再確認した気分です。

 

 また例によってキラたち仲間の活躍がほとんどなかった点も挙げられます。前作と比べるとジョーの心の支えになるなど本筋に大きく関わってはいるのですが、デュエマパートでは依然として出番の少なさが目立ちます。キャップは詳細なデュエル描写が1度もなかったですし、ゼーロJr.に至っては存在がほとんど空気になっていました。こちらもジョーとアバクの対決を主軸にしていたせいで、極論いなくても成り立つ彼らの出番が削られてしまったのかもしれません。

 同時にS-MAX進化の変身シーンがほとんど見られなかったのは惜しかったですね。ジョー以外は1、2回変身するだけで終わり、クリーチャーとの合体要素もあまり感じられませんでした。上のデュエマパートの少なさも相まって、ほとんどゲスト扱いの如くあっという間にキラたちのS-MAX進化の活躍が終わってしまったのは正直物足りなさが否めなかったです。せっかく美味しい設定を引っ提げてきたのに、それが活かしきれなかったように思えます。(個人的にはモモキングとジョーの合体形態も見てみたかったですね)

 

 あとこれは作品そのものの評価とはあまり関係ありませんが、途中で挟まれた再放送がこれまた気になりました。流石に前作ほど過剰ではなかったものの、話の途中でいきなり過去のエピソードが挟まれる構成にはやはりストレスが溜まってしまいます。

 特に16話以降の4回連続再放送は本当にひどいと思いました。最終回の1話前で1か月も待たされるのはあまりにもキツかったです。オーディオコメンタリーのような試みもあってそれ自体は聞いていて楽しかったものの、もう少し工夫するべきところがあるはずだっただろうと言わざるを得ません。

 制作側も何かしらの事情があってこうせざるを得なかったことは何となく察せられますが、見る側としてはどうしても苦言を呈したくなります。個人的な妄想で悪いのですが、その1か月の間に「デッキーを失って傷心のジョーが、これまで出会った仲間たちとデュエマをすることで少しずつ前向きになっていく」といったエピソードを入れたら良かったのでは?とつい考えてしまいます。これなら上述の日常回や仲間たちの出番の不足を同時に補えるので、出来ればそういった旨の内容をやってほしかったですね。

 

 

 総評としては「ジョー編完結までのノンストップストーリー」といったところでしょうか。ジョーの物語を終わらせるために、必要なことややるべきことを徹底的にまとめあげたような印象を受ける作品でした。無駄な要素を極力削ぎ落とし、完結までの1本道を全力で駆け抜けた爽快感が最大の特徴だったと言えます。ただその無駄にも目を向けて、アットホームな雰囲気をもっと出してほしかったとも考えてしまいます。
 とはいえジョー編の終わりとしては結構理想的な内容だったのも事実。ジョーという少年の最後の成長に目を向けて、そこまで描き切ってくれたことには感謝しかありません。過去のジョーカーズの登場などのファンサービスもあり、ジョー編のファンとしては概ね満足のいく作品でしたね。

 

 

 では以下、各キャラクターについての所感です。

 

 

切札ジョー

 我らが主人公。今回はいきなりデッキーたちを奪われるわ、途中で父ちゃんも傷つけられるわとひどい目に遭いっぱなしでしたが、その分何度でも立ち上がるジョーの良さが表れていたと思います。特にアバクの所業に憤る一方で、彼の境遇を知って助けようとする優しい一面が見られたのが嬉しかったです。

 取り戻したデッキーとの突然の別れも経験し、ジョーカーズとも別れなければいけない状況に立たされたうえで「別れは新しい始まり」という答えを見せてくれた最終回には感動させられました。まさしく本作はジョーの卒業と新たな一歩を描いてくれたのだつくづく思いましたね。

 

 

デッキー&ジョーカーズ

 ジョーの親友にして最高の相棒たち。本作ではアバクによって出番が奪われ、可哀想な目に遭っていたのが見ていて辛かったですね。特にデッキーが鬼の槍に力を奪われるシーンなどは見ていられませんでした。話も終始重く、デッキーたちの和やかさにどれだけ救われていたかを改めて思い知りました。

 最終的にそれぞれ消滅あるいはジョーカーズ星に帰還してジョーと別れることになりましたが、上述の通りそれがジョーの成長に大きく繋がっていたことには納得しかありません。ジョーにとって少年時代の奇跡のような日々を象徴する存在として、有終の美を飾ってくれたと思います。

 

 

鬼札アバク

 本作のボスキャラ、そしてもう1人の主人公。ジョーにとって許せない行為を重ねまくった憎き敵キャラとして物語の最後に立ちふさがってきましたが、その実態は鬼の血に振り回された哀れな少年として描かれていたのが興味深かったです。『キング』時代と比べても悲劇性が強く、特に漫画版で物議を醸した過去編を見せてきた時は心底驚きました。

 ジェンドルや鬼の槍に“鬼”として在ることを強要され、本人もそれを良しとして振る舞っていたのは一周回って痛々しかったです。それだけにジョーとの最終決戦の後、自分の本当の望みを口に出来たことには感動しましたね。ジャオウガも力を貸してくれてヒミコやハイドともよりを戻し、さらには和解したジョーと共に学園生活を送るエンドには思わず顔が綻んでしまいます。最後の最後にみんなが救われる結末が見られて本当に良かったです。

 

 

 ジョー編も無事完結し、同時にこれまで主役を演じてきた小林由美子さんも本作を以てデュエマアニメを卒業することも忘れてはいけません。長いことアニメの方を引っ張ってくれた小林さんの声が聴けなくなるのは残念ですが、いつかまたデュエマに関わってくれることを信じて、ひとまずは感謝の言葉を残したいと思います。

 小林由美子さん、今までありがとうございました!!

 

 そして次回から新番組『デュエル・マスターズ WIN』の感想を書いていく予定です。切札家ではなく、最初から闇文明を主軸にして戦う主人公という斬札ウィンの物語に対し、期待で胸が高鳴ります。ジョー編以上に前代未聞となるであろうウィン編がどうなっていくか実に楽しみです。感想の方も、読んでいただければ幸いです。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

 

↓以下、過去の感想一覧です。

 

 

 

 

 

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